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鹿島建設/千葉大学 生物多様性保全に配慮した屋上緑化技術を共同開発

2013.10.28 12:01

 鹿島建設(東京都港区)と千葉大学(千葉市稲毛区)は、共同で地域の生物多様性保全や循環型社会実現に貢献できる市民参加型の屋上緑化技術「屋上はらっぱ」を開発し、「千葉大学けやき会館」屋上に設置した。
 「屋上はらっぱ」とは、近年減少している街中の空き地などの草地を近隣植生と日用の廃材により整備する新型の屋上緑化デザインである。従来、自然灌水装置やプラスチック製資材を用い、樹林の形成を目的とした画一的な屋上緑化が普及しているが、コストや維持管理、荷重等の課題があり、市民のデザインや施工への参加も限定的だった。そこで、今回開発された「屋上はらっぱ」は、市民が地域生態系の調査やリサイクル資材の収集、デザイン・施工を実施し、自らが「緑」を創る楽しさを体験できる屋上緑化工法を実現した。
 同システムの最大の特徴は、既存屋上の未利用空間に周辺地域から採取した植生種子を用いて地域固有の草地を復元する点にある。これにより、各地域の特性に応じた草地を都市の屋上に新たに創出し、地域の生物多様性保全に貢献することができる。また、使用する材料は再生可能な資源やリサイクル材となる。コンクリートや瓦の再生資材をはじめ、古着や廃タイヤを再利用することで、ゴミやコストの削減を実現し、循環型社会の形成に貢献することができる。また、耕作放棄地の萱や荒山の竹を排水材として利用することで、耕作放棄地や竹害防止にも役立つ。
 同システムは「2013年度グッドデザイン賞」を受賞している。

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