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全国アスベスト処理サポート協会 2028年頃にピークを迎えるアスベスト問題 優良業者の紹介サイトで適正工事を積極支援

2013.05.20 17:50

 「アスベスト輸入のピークを考えると、解体工事におけるアスベスト対策が必要なのは2028年頃がピークと予想できます」とは、アスベスト除去業者のポータルサイトを運営する全国アスベスト処理サポート協会(東京都荒川区)の代表を務める国松靖弘氏だ。
 アスベストの健康被害問題がクローズアップされたのは平成17年頃だが、神奈川県不動産鑑定士協会の調査によると、アスベストの輸入量の最盛期は昭和36年~平成9年頃。築40年~50年で建て替えを行うと考えると、アスベスト除去が必要な解体工事のピークは2037年頃まで続くことになる。また、社会資本整備審議会建築分科会「アスベスト対策部会(第5回)」の調査では、解体工事のピークを迎える2028年頃には、アスベストの使用が推測される民間建築物は約280万棟に及ぶとされる。国松氏は「問題は工期や工費を短縮するため、ずさんな違法工事が横行している」と、指摘する。
 平成21年に施行された「改正石綿障害防規則」により、解体工事を行う際のアスベストの事前調査や負圧除じん装置の設置等の対策が盛り込まれたが、「実際の解体工事は養生シート内で行われるのでブラックボックス化してしまい、利益重視の解体工事業者が手抜き施工を行うケースが問題視されています」(国松氏)のが現状だという。
 こうした問題を受けて、同協会では平成23年9月から、日本初のアスベスト除去工事一括見積もりサイト「アスベスト除去見積比較ネット」を関東地方限定で開設。全国から問い合わせが急増したため、15日から同サイトの全国展開を開始した。
 同サイトを開設した経緯は、国松氏の父親の所有賃貸物件においてアスベスト除去工事を行うことになり、相見積もりを取った結果、中間マージンが発生し、オーナーとしては不要なコスト負担があることを知ったためだ。解体工事の元請業者がアスベスト除去業者を選定するため、中間マージンがアスベスト除去費用に上乗せされ、オーナーのコスト負担が大きくなる。さらに、元請業者が無理な値下げをして受注した場合、アスベスト除去業者にしわ寄せされ、手抜き工事が発生する要因となりかねない。
 「そこで、当サイトでは解体業者とアスベスト除去業者を別々に発注する『分離発注』を行います。サイト内で最大3社の詳細見積もりを比較検討し、中間マージンもカットされるため、10%~40%ほどコスト費用が安くなります」(国松氏)
 アスベスト・解体工事業者の中には先述したように手抜き工事を行う「悪徳業者」も存在するというが、同サイトの登録業者は国の指定機関による「アスベスト除去工法に関する審査証明」を有する業者など、実績豊富な法令厳守の優良業者48社(5月15日時点)が登録しているので、安心して利用できるという。

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