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商い創造研究所 米国ポートランドの街づくり手法を銀座で生かす

2013.03.04 14:04

銀座西並木通り会が「街づくり懇話会」開催 若手有志が銀座の街づくりに対して提言
 銀座西並木通り会は2月26日、街づくり懇話会「ポートランドから学んだこと」を開催した。昨年10月に米ポートランド市を視察した銀座西並木通り会の若手有志による視察報告、さらに、同地の街づくり政策を銀座の街づくりにどのように生かすのか、その提言を行なった。ポートランド視察ツアーを主宰する商い創造研究所(東京都千代田区)の松本大地氏と縁を持ったことで、今回の視察を実施。今回のパネルディスカッションのコーディネーターも松本氏が務めた。
 アメリカ西海岸に位置するオレゴン州ポートランドは、現在ではアメリカで最も住みやすい町として世界中から注目されるエリアであるが、1960年代以前には急激なモータリゼーションの流れによって市内は車と駐車場ばかりになり、歩行者の姿が消えた中心市街地はスラム化し、荒廃の一途をたどっていた街である。しかし、自治意識の高い住民やデベロッパー、行政が一体となって環境、交通等の改善に努め、市街地を活性化する努力を継続した結果、住・職・環境が揃った全米屈指の人気の街に成長した背景がある。そのエッセンスを銀座の街づくりに活用しようというのが、今回の視察の狙いだ。
 具体的な取り組みとして、ポートランドでは公共交通機関を充実させ「歩いて楽しい街を戦略的に作る」取り組みを積極的に行なっており、視認性の高い1階部分には店舗が入居し、駐車場等で歯抜けになった部分にはフードカートが並び、街並の連続性が途切れることがない。さらに、新たな開発コストの2%分はパブリックアート設置費用に使うように法整備され、街の至る所でパブリックアートが設置されており、「楽しみながら」街歩きができる。また、特定エリア内の不動産オーナーに対し、固定資産税に一定額を上乗せして、共益費としてそのエリア内で販促活動や清掃まで行うBID(Business Improvement District)制度なども確立されている。また、地元企業の育成を視野に入れた「ポップアップショップ」はどうか。地元クリエーターやベンチャー企業を対象にコンペを行い、優遇賃料で賃貸する制度だ。開始から4年で空き店舗がなくなったという。こうした視察結果に対し、街づくりのノウハウを銀座にどう生かすのか、ポートランド流の街づくりで銀座が大きく変わるかもしれない。

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