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丸の内アドバイザーズグループ 相続・事業承継のポイント 建物の資産価値を維持するために事前準備は必要

2012.05.14 17:44

 平成18年の中小企業白書によると、年間で29万社が廃業し、うち後継者不在を第一の理由としたものがおよそ7万社であったという。会社経営という形でビルを経営するオーナーにとって、この問題は他人事ではない。つまり、ビルオーナー会社の円滑な事業承継は、建物の適切な維持管理を継続させることと密接に関わってくる。
 税務や事業承継(相続・M&A)、不動産コンサルティングなどといった相談に、ワンストップサービスを展開し、「事業承継・相続対策セミナー」を定期的に開催している丸の内アドバイザーズグループの岩松琢也氏(公認会計士・税理士)と、幸村俊哉氏(弁護士)に、相続の際のワンポイントや事業承継の注意点を聞いた。

岩松氏「資産三分法といって、資産を不動産、キャッシュ、有価証券の三つの種類に分けてバランスよく保有することが望ましいとされていますが、一般的にビルオーナーの方の資産保有の内訳は、不動産に偏る傾向のある印象を受けます。相続が発生した際に、不動産は課税評価額を下げる効果の現れるメリットがありますが、相続人同士で相続財産を分割するのには不動産は分割しづらく、争いの元となる懸念もあります。また、種類ごとにバランスよく保有したいと考えていても、キャッシュは利息が付かないし、相続の評価額を下げられないなど、なかなか実現できない場合もあるかと思います。そうなった際には、私たちが行っているセミナーでも話すのですが、生命保険を上手に活用する方法があります。例えば、父親から子供に相続することが予定される場合、現金の生前贈与を行うと、非常に有利です。加えてその子供が相続した現金で、父親に生命保険をかけるのです。そのように手続きをしておくと、相続が発生した際には父親が自らかけた生命保険を子供が受け取るよりも、子供が父親にかけた生命保険を子供が受け取った方が、相続税ではなく一時所得として所得税の対象になることにより、より多くの現金が手元に残る場合もあります。また、生前にあらかじめ遺産の行き先を決めておけるというメリットもあります」

幸村氏「平成18年での統計ですが、家庭裁判所に申し立てがあった遺産分割調停事件(調停・審判)で、6カ月以内に解決したものが約4割、1年以内が約3割、2年以内が約2割、それ以上かかったものが約1割というデータがあります。家庭裁判所に申し立てるまで、仮に相続発生からおよそ半年経過していると推測すると、遺産分割が順調に進まない場合には、少なくても解決までに1年程度かかるといえるでしょう。これは不動産そのものだけでなく、不動産を所有する会社の株式についても同様の注意が必要です。たとえば、不動産を所有・賃貸する会社においては、複数の相続人がいると、遺産分割がまとまらない間は後継者とされていた人間が、経営の決定権を持てないという状況にもなりかねません。後継者が宙に浮いたままでは会社の意思決定もままならず、時間の経過とともに、所有する不動産に対する大きな方針が定まらないまま劣化して資産価値を落とし、さらにはビル内の入居者に快適な空間を提供するというサービスの質も低下しかねません。そのような事態を避けるためにも、事前の対策を行う必要があると考えています」


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