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東京ビルヂング協会 当初飲食フロア予定の30階 天井高5mを3・5mに変更

2006.09.11 14:25

 東京ビルヂング協会は、9月7日、東京建物とAIGグループの協力により、今年4月に錦糸町にオープンした施設「オリナス」(東京都墨田区)の見学会を開催した。当日案内されたコースに沿って、同ビルをレポートする。
 「オリナス」はJR総務線「錦糸町」駅徒歩5分、東京メトロ半蔵門線「錦糸町」駅徒歩3分に位置する、事務所棟「オリナスタワー」、商業施設「Olinasモール」、住宅棟「Brilliaタワー東京」からなる複合施設。今回の見学会は、そのうち業務棟「オリナスタワー」が舞台である。
 まずは、高層基準階に移動した。
 天井高は2・9mの「コの字型」無柱空間とし、使用方法の自由度を広げてある。空調は100坪ごとに設置し、インターネットを介しての操作が可能。照明は方向感を持たせないクロス型配列となっている。
 特徴的なのは地上30階フロアの天井高が3・5mとなっていること。これは、当初飲食店舗をテナントとして入居させる予定であったため、実は天井高5mが確保されていた。18階以上がAIGグループの所有となり、オフィスとしての利用へと変更されたため、点検等が行えるよう、天井高は3・5mに下げた経緯があるという。  テナントサービスとして充実しているのは、各フロアに設置されている天井に強制排気設備を備えたリフレッシュルーム。隣接する住宅棟への配慮から窓に向いたカウンターはシアーフィルム加工が施されており、業務棟内部からのみ視界が利くようになっている。
 トイレは男女共に、防犯対策の一環で、個室間の壁を天井までとしている。女性用トイレにはパウダールームを設置した。
 地下2階は主に機械室。管理・清掃会社が数社に渡ることを考慮して、ロッカー室・控え室などは複数用意している。現在は工事中であるが、停電の際の存続設備として、テナント用の非常用発電機も2基装備している。その際の燃料として、室内に1万5ℓ規模のオイルタンクを2台備えており、停電時に48時間の連続運転が可能だ。この発電機の存在を知って入居を決めたテナントもあるという。発電機のうち1基は、使用テナントが入居する今年10月中旬から稼働予定だ。
 また、24時間有人管理の防災センターは、オープンネットワーク技術を使用しており、故障時に、PCの部品を買い足せば補充可能となるよう、汎用性の高いパソコンで稼働している。
 ちなみに墨田区に無償で賃貸する予定の100㎡の「太平四丁目 防災備蓄倉庫」は、現在空の状態となっていた。
 「商業棟にシネマコンプレックスが入っていますので、火災感知器などの誤報があると大きなトラブルになりますから、迷惑を掛けることがないよう努力しています。アナウンスの仕方など、人的な面にも配慮するつもりです」(防災センター・センター長・久保秋光善氏)
 こうした充実の設備、テナントの使いやすさを意識した設計が、満室でのオープンにつながったと言える。なお、12月からは全テナントが同ビルへの移転を済ませ、本格的なスタートを切ることとなる。

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