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<データで見るビル経営>森トラスト ストックの存在が明らかになった貸ビル市場 水準は過去3番目の安定供給機へと移行

2006.04.10 12:00

オフィスビルの供給量を調査
森トラスト(東京都港区)は、東京23区オフィスビル供給量調査の結果を発表した。
  同調査で明らかになったポイントは、以下の3点。
 1.供給量の推移については、中期的には減少傾向にあり、年平均供給量は124万㎡(2000〜2004年)から95万㎡(2005〜2009年)になること。2006年の供給量は164万㎡に達し、過去三番目の高水準となるが、続く2007年は106万㎡と過去の平均水準並みに戻り、2008年、2009年は100万を下回る見通し。また大規模低・未利用地での再開発が集中した2000年前半の「大量供給期」から、再び年平均100万㎡。程度の水準に戻る「安定供給期」へと移行すること。
 2.供給エリアの傾向として、2005〜2009年における供給量の7割強が都心3区に集中し、依然として都心回帰傾向が続く見通しで、なかでも、「千代田区」と「港区」が各々3割強ずつを占め突出し、「千代田区」においては大手町・丸の内・有楽町地区への一極集中が一段と鮮明になり、「港区」では赤坂、汐留、六本木など、昨今一段とオフィス集積の高まりが顕著なビジネス地区での供給が目立つこと。
 3.大規模オフィス供給に占める建替えの割合は、2000〜2004年には20%に過ぎなかったが、2005〜2009年には51%まで増加し、これまで主流であった低・未利用地の開発による供給量を上回る。さらに、今後の供給の核となる「千代田区」と「港区」においては、建替え割合が6〜7割に達し、建替えを主体としたオフィス供給の都心回帰傾向を裏付けていること。
 今後のマーケット展望については、昨今顕在化しはじめた「建替え主体型供給構造」へのシフトは、東京が国際ビジネス拠点として成熟する過程で、時代に合わなくなったストックの更新期に差し掛かっていることを予兆。実際に、大地震発生リスクの高まりや、アスベスト問題の表出など、マーケットを取り巻く環境の変化によって、看過できない不良ストックの存在が浮き彫りとなっていることから、建替え等による機能更新は今や時代の要請となりつつあること等を挙げている。

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