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不動産管理新潮流

2006.03.11 15:51

<PM会社の戦略>平成ビルディング デューデリジェンス事業をスタート 不動産管理周辺業務を強化・拡大
 みずほ信託銀行グループのビル管理会社である平成ビルディング(東京都中央区)では、2月から畠山常務以下6人体制で新規事業の不動産デューデリジェンス事業を開始した。
 「不動産証券化の拡大に伴い、みずほ信託銀行では信託財産の受託残高が3兆5000億円に達するなど、急激な市場の成長によりデューデリジェンスが必要な不動産が増えています。そこで、同行との補完・連携を考えて事業参入を決めました。幸い当社には不動産鑑定士の資格を持ち鑑定業務経験の豊富な社員も多く、従来から建物診断業務や耐震改修なども行っていたためゼネコン・設備・設計会社出身のスタッフを抱えており、比較的スムーズに事業をスタートすることができました」
 姉歯設計士らの耐震補強度偽装問題および東横インの不正改造問題などにより、不動産関連業界では建築物に対する厳しいチェックニーズが生じており、不動産ファンドなどにおいても不動産取得時のデューデリジェンスを徹底しようという動きがある。信託銀行としても、信託財産を受託する際にエンジニアリングレポートの徹底したチェックを行う方針であるようだ。ただし、デューデリジェンスを行うことのできる事業者は意外に少ない。
 「デューデリジェンスを手掛ける企業にはゼネコン・設計会社系、不動産鑑定事務所系、損保系、監査法人系、管理会社系などがありますが、建物・設備調査から不動産鑑定、地質・地震リスク判定までフルラインで手掛けることのできる企業は少なく、それぞれの得意分野によって各項目のレポートの精度は異なります。当社含め不動産の現場を知る管理会社は、建物の劣化状況や保全に必要な費用算出のノウハウなど現場に立脚したスキルを有しており、この分野で制度の高いレポートを作成できます。当社の場合、これに加えて金融機関っで不動産鑑定や不動産業務を長年経験してきたスタッフが経済的な価値の算出を行いますので、他の事業者には負けない高水準のレポート作成が可能です」
 平成ビルディングでは不動産デューデリジェンスの他にも耐震改修事業、20人体制のリーシング業務、プロパティマネジメント業務など新分野への事業拡大を進めており、売上高は2004年12月期69億7600万円(経常利益5億4500万円)から2005年12月期84億円(経常利益8億5800万円)へと急成長している。h動産管理・仲介業務が相乗効果を発揮しながらそれぞれ好成績を上げているようだ。
 「デューデリジェンス業務を手掛けることで、不動産が流動化する前の時点で物件に関わることができます。投資不適格な部分があればその改善をしなければなりませんし、管理・PM業者も新たに選定する可能性があります。物件を管理するとなれば、建物の定期診断時に重点的に調査すべき場所が把握できているなどの業務上のメリットも大きいでしょう。勿論それだけが目的ではありませんが、事業機会が増えるのもメリットの一つではないかと考えています」
   スタートしたばかりの事業だが、既にいくつかの案件に取り掛かっており好調な滑り出しを見せている。近く人員も倍増する予定だ。
 「当社では新たな事業計画を盛り込んだ3カ年計画を推進しており、3年後には管理会社系のデューデリジェンス事業者としてはトップクラスの受託を目指していきたいと考えています」

ジョーンズラングラサール 総合不動産マネジメントシステム開発 日・米・英・豪の国際会計基準に対応 勘定系のシステムとシームレスに連携
 ジョーンズラングラサール(東京都千代田区)は総合不動産マネジメントシステム「JLLプラス」を開発し、自社の管理物件に向けてサービス提供を開始した。
 JLLプラスは従来の不動産管理ソフトウェアである「MRLI(米Intuit社製)」を日本の不動産商習慣に合わせてカスタマイズしたもので、過去のデータから現在の数値に至る詳細な不動産情報を物件ごとに蓄積・参照することができるシステムだ。
 英語・日本語の二カ国語に加えて日・米・英・豪など複数の国際会計基準に対応しており、勘定系システムとシームレスに連携するため厳格な会計基準の遵守が可能。各クライアントのニーズに合わせたレポートフォーマットのカスタマイズもできる。データはレントロール、ファイナンシャルレポートをエクセルにインポート/エクスポートできるためデータ活用も簡単である。
 なお、同社では今年上半期中に「ウェブバージョン」の導入も予定している。

【短信】
ジャパンメンテナンス 子会社2社を吸収合併
 イオングループでビルメンテナンス大手のジャパンメンテナンス(大阪本社:大阪市中央区)は、3月1日をもって100%子会社のジャパンメンテナンス北海道とジャパンメンテナンス九州を吸収合併した。全国展開企業として、いつでもどこでも確かで効率的な高品質サービスを提供するために統一的な品質管理を徹底することが合併の狙いだ。これによって全国2本社、4関係会社を含めて名実ともに全国ネット企業となった。

野村ビルマネジメント 役員人事・組織変更発表
 野村ビルマネジメント(東京都新宿区)は役員人事を発表した。4月1日付けで管理事業本部長に小西幸太郎氏、建築インテリア本部長に後藤謙三氏、管理事業本部西日本本部長に松元芳人氏、管理事業本部首都圏本部長に山口仁氏が就任する。なお、常務取締役建築インテリア事業本部長の牧野芳則氏は3月31日付で退任する。同社では同時に組織改正を行い、「プロパティマネジメント事業部」を開発営業本部の営業部門と位置付けてフィー収入の拡大を図るなど更なる成長を目指す。

リロ・ホールディング 代表取締役社長が異動
 借上げ社宅の管理業務などを展開するリロ・ホールディング(東京都新宿区)は、代表取締役の異動について発表した。新代表取締役社長には現取締役の土屋真氏が昇任、4月1日付で就任する。現代表取締役社長の斉藤尚史氏は取締役に退き、平成18年6月開催の定時株主総会で退任する予定だ。同社では斉藤社長のもと、約3年にわたる経営改革によって持続的な成長となる経営基盤の構築を進めてきたが、次なる経営ステージに向かうにあたって新社長の就任を決めた。

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