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<ご意見拝聴>(社)全国タイル業協会 剥落事故の原因は躯体と仕上層下地の接合部 タイル外壁の安全性と施工技術向上を推進 施工状態が良ければ法定耐用年数以上安全

2006.03.06 17:19

-外壁剥落に関する報道に異議を唱えられているそうですが。
飯島 昨年発生した、新川のニューリバービルの斜壁崩落事故の件ですが、一部の報道機関で、「外壁タイルが落下」「タイルが崩れ落ちる」など、あたかもタイルの事故であるかのような間違った報道がなされています。この事故原因は斜壁部分に施された「防水層とコンクリート躯体の界面」で接着力が低下し、「防水層」からずれ落ちたもので、タイル自体が剥がれ落ちたものではありません。
-確かにあのビルでは施工上の問題がありました。通常斜壁部分のタイル施工で必要な処置がなされていませんでした。
飯島 本来は金属メッシュネットを躯体にステンレスアンカーピンで固定して、その上に下地モルタルを塗り、貼り付け用モルタルでタイルを固定するはずが、防水層の上に直接モルタルを塗り、タイルを貼り付けていました。これでは熱膨張などで接着力が低下するのは目に見えています。
-確かに外壁崩落事故で死傷者が出る場合は、タイルの剥落というより、タイル仕上部を含む外壁が剥がれ落ちるケースが多いように感じます。
飯島 実際にタイルの剥落事故で死傷者が出た例は聞いたことがありません。ただしタイル自体が剥落する事態も発生しないわけではありません。これは施工不良と昔の製品に問題があったなどの理由によるものです。特に、昭和48年以前のタイルには裏足のついていないものがあり、その場合は施工不良がなくても剥がれてしまうことがあります。裏足がついていて、施工がしっかりしていれば、法定耐用年数以上の期間、剥落の心配はないはずです。
-ビルオーナーが施工の良し悪しを見極めるのはなかなか難しいと思いますが。
飯島 タイル1枚1枚をチェックするのは難しいと思いますが、適正な工法で施工されているかどうかは、協会が発行するパンフレットなどを参照していただければ、ある程度判断していただけると思います。建築士に相談するのもいいでしょう。協会としては、施工不良を無くすために、毎年組合員が施工した物件を一斉点検する期間を設けています。これからも、施工不良を無くすように各方面へ働きかけていきたいと思います。

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