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事務所ビル火災の実態研究 大手ゼネコンが共同で研究開発 今後の火災安全に貢献
2001.10.22 15:46
鹿島建設、大成建設、清水建設の大手ゼネコン3社は「事務所ビルを対象とした火災安全設計データベース構築」に関する研究の成果をまとめた。
3社の共同研究により、各社固有の技術を相互に生かすだけでなく、研究費用の削減、人員の削減、期間の短縮など多方面において効果的な成果をあげている。
外部の研究機関として、東京理科大学火災科学研究所、自治省消防研究所(現独立行政法人消防研究所)、能美防災、ホーチキなども協力している。
研究成果である「火災安全設計データベース」は3つのポイントで構成されている。
一つめは「事務所ビルの可燃物の実態データ」(東京理科大学火災科学研究所へ一部委託)で、オフィス空間における可燃性物品の種類、配置、重量などを実態調査したもの。研究成果によればパソコンやローパーティションなどが普及していること、プラスチック系の可燃物が増大していることがわかった。
二つめは「代表的な可燃性家具等の単体燃焼特性データ」で机・椅子・パーティションなどオフィス内の代表的な可燃物の発熱速度と燃焼拡大状況を調べたもの。
三つめは「配置パターンの燃焼特性、スプリンクラー火災制御効果データ」(現独立行政法人消防研究所、能見防災、ホーチキとの共同実験)でオフィス内での代表的な配置パターンによる燃焼実験をおこない、スプリンクラーなどの火災抑止効果について調べたもの。
3社はこの研究成果を、昨年6月から建築基準法の火災安全規定に導入された性能規定型設計に役立てて行く方針。