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来秋竣工のADK松竹スクエア SPC工法を用いた不動産流動化の実施を発表

2001.09.03 16:46

「みんと」が関与する物件としては初
 映画製作大手の松竹(中央区)は、2002年11月竣工に向け、建設が進められている複合テナントビル「ADK松竹スクエア」について、SPCを用いた流動化を行うと発表した。同ビルは松竹が「松竹会館」の跡地を民間都市開発推進機構(略称みんと)に売却し、その後松竹が事業主として建設しているものだ。
 今回のスキームは「みんと」が99年2月松竹より175億円(坪あたり1100万円)で購入した土地を安田信託銀行に信託して信託受益権を取得するもの。同時に新たに設立したSPCの「築地キャピタルビル」に、信託受益権を譲渡する。松竹はビルの開発地位をSPCの受託者となる信託銀行に譲渡し、以後は築地キャピタルが開発プロジェクトを継承してゆく。
 また、松竹は築地キャピタルに対して100億円の匿名組合出資を行い、完成後のビルからの配当収益を受け取ることになる。
 今回のプロジェクト規模は400億円。また「みんと」が所有する土地を信託受益権の形で譲渡するのは今回が初めてのケースとなるという。
 ADK松竹スクエアは約1650坪の土地に、オフィス・住宅・店舗・図書館の複合ビルを建設するプロジェクト。ビルの規模は地上23階、地下2階建てで、延床面積は約1万6400坪。うちオフィス部分は約1万800坪になる。
 オフィス部分については、大手広告代理店のアサツー・ディ・ケイが一括使用することが既に決定している。
 松竹は映画・演劇・不動産の3つが事業の柱になっているが、映画への依存比率が高く「国産映画不況」が叫ばれる中で苦戦が続いていた。そうした中、「これまで7%程度のウエイトであったものを20%にまで引き上げる」と収益力の高い不動産事業の拡充を図り、企業体質の強化を目指していた。

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