週刊ビル経営・今週の注目記事

毎週月曜日更新

配線不要で社内LANを構築する 赤外線利用の光空間伝送システム 低コストでインテリジェント化

1996.12.15 10:39

 ベンチャー企業のエルテル(埼玉県大宮市 太田行健社長)は、老朽化した既存ビルのインテリジェント化を図るシステムを開発した。社内LANを構築する際には、アクセスフロアや、二重床による配線が必要である。しかし、その設備導入には、多額な改装コストや、改装による引っ越しなど、テナントへの負担が大きい。この問題点を解決するのが、同社の赤外線モデムの「OPLAN-10」である。これは、パソコンの間に有線の通信線を使用せず、赤外線を使用して情報を送る「光空間伝送装置」だ。赤外線はテレビなどのリモコン装置に使われているが、原理的にこの光空間伝送装置も同じ。利用方法は、インサーネットケーブルを天井照明設備を利用して敷設し、赤外線を送信するアクセスポイントを設置。パソコンにも装置を設置して、情報をやりとりするもの。サイズは高さ9センチ、横幅12センチ、奥行13センチと小型だ。
 同装置は、懐中電灯の光のように拡がって発せられる拡散方式のため、光自体を覆わない限り遮断されることが少ない。しかも赤外線を天井や壁などに反射させて届かせることが可能なため、直線状に目標とされる装置が設置されていなくても通信可能。反射させたときの伝達距離は半径3メートルの範囲内で、機器を向かい合わせた場合は約30メートルだ。
 赤外線を使用した光空間伝送装置は、有線や電波と異なり、赤外線をキャッチできる範囲にしか情報が伝わらないため、インターネットに於いて心配される機密漏洩の心配が無い。導入の費用は施工費別で、天井取り付けタイプが15万円から20万円。パソコン設置対応型は7~8万円が目安。
 同社は、この他に赤外線を使用した、ビル間の無線LANも開発している。




週刊不動産経営編集部  YouTube