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都内一等地に30以上の貸店舗 一週間単位で平均8割前後の稼働率
1996.10.01 16:46
テナント側の種々なニーズに対応する形で、短期間でスペースを賃貸するビルが増えている。昭和55年にこの事業をスタートし、都内の一等地に30以上の貸店舗を持つ永谷商事のケースをレポートしたい。
上野広小路に開店
永谷商事(東京都中央区)が、この短期貸し店舗事業に着手したのは、昭和55年からである。
「ビルの供給過剰による空室対策の目的から他社も始めたようですが、スタートしたのは、当社が早かったと思います」(大矢英昭次長)
同社はもともと東京の一等地を中心に分譲マンションを数多く手がけていた。こうしたマンションのうち一階部分を自社所有都市、貸店舗、貸スタジオ、貸オフィスとして運用しているのである。
立地はいずれも最寄り駅から5分以内という好条件。例えば、今年5月にオープンした上野広小路店は、中央通りと春日通の交差する角地にある。一年中人通り多い所で、物品販売・見本市など他もk的に活用されている。店舗面積は82.74平米。地下鉄に12号線出口も目の前に予定されており、今後さらに需要が期待できる。
同社は上野広小路の他にも、紀尾井町・上野・銀座・新宿・外神田・黒門町・御徒町など30店舗以上の貸店舗、オフィスを運営している。
「立地の良さから、平均して8割以上の稼働率」(大矢次長)という人気ぶりである。
手軽さが人気の秘訣
利用料金は、1日300円から10万円と幅費億設定されている。
契約は、原則として日曜日から土曜日の6日間単位となっている。長くても半年ごとに更新というスタイルを取っている。
「入居基準に関しては、一般の賃貸物件のように細かく設定していません。ですから、よほど公序良俗に反しない限りは断っていません」(大矢次長)
使用料金以外は、保証金等は預かっていない。原状回復に関しても、利用者が最終日に清掃・ゴミ処理を行うとしており、破損以外は費用がかからないシステムである。こうしたホテル感覚で手軽に利用できるというのも人気の要因であろう。
宣伝手法は新聞等を活用し、全て自社で仲介から管理までを行っている。15年以上の実績から、定期的な顧客も多い。
同社ではこのノウハウを転用し、時間貸しのオフィス・貸教室・貸スタジオ等も手がけている。
全て自社物件であることから、立地や利用率を考えて、最も利回りの良い運営法を行うため、リニューアルや改善をしているという。