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昭和63年竣工の昭和ビル 地下1階を改装 約3百万円で飲食仕様から貸会議室へ 汐留の開発で需要増大も睨み
1996.06.15 09:56
空室対策から、他の用途への転換を図る事務所ビルは多い。しかし、選択方法を一歩間違えると、大きなリスクを抱える事にもなる。今回紹介する事例は店舗から会議室へのリニューアルされたケース。同ビルは先日募集が始まった。汐留の貨物跡地裏と言う好立地。これから増えると予測される貸会議室需要を睨んでの仕様変更だその舞台裏を探る。
先頃、リニューアル工事も終えた昭栄ビル(東京都港区・浦修治社長)は、昭和63年竣工、地下1階、地上7階建てのオフィスビル。同ビルのワンフロア面積(基準階)約22坪と、新橋界隈では、コンパクトサイズのビルだ。
今回リニューアルされたのは、このビルの地下1階。以前は、社長が経営する別会社の、レストランとして、使用されていたスペースだ。「このビルを設計する段階から、地下1階のスペースは、飲食店を誘致するつもりでいました。しかし、第1京浜国道と、JRの線路に挟まれる場所にある昭栄ビルは、飲食テナントの需要を掘り起こす事が出来ず、これまでは自ら洋食レストランを運営していた訳です」(浦社長)。社長が話すように、立地面からは、飲食ニーズの狭い同エリアでは、昼のランチタイムは満杯になるものの、夜のディナータイムでは、厳しい状況が続いたと言う。そこで、今回採算ベースに合わないレストランをクローズし、貸会議室へと使用変更を図った訳だ。では貸会議室需要はどうか。このビルの専任委託を受けているダクエンタープライズの柳沢部長によれば、貸会議室ニーズは充分期待出来ると分析する。「当社も、よく貸会議室を利用するので分かるのですが、新橋界隈で、貸会議室を備えているビルは多くありません、私の知る限りでも、駅ビルなど数カ所です。その為、予約を以前から入れていないと、スペースを確保出来ないのが現状で、不便を感じる事もしばしばです」(柳沢部長)。
今後はさらに汐留開発関係ニーズも担っており、今回の会議室仕様への変更で、事務所へも変更が容易と、二段構えのリニューアルだ。
賃料は、これから検討されるが、「他の貸会議室の使用料金を考え、リーズナブルな料金設定を考えている」(浦社長)。と約300万円かかえ改装費用も、良い結果を呼びそうな状況だ。