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<米国テナントビル市況>東海岸は既に反転、西海岸も回復へ

1996.01.15 16:41

 昨年秋、第6回目を迎えた渡米ビル経営視察団(㈶社会経済生産性本部主催)で団長を務めた昌平不動産(東京都千代田区)の瀬川昌輝社長は現在、視察レポートの取りまとめに追われている。
 この視察団は昨年11月28日から12日間の日程で催行されたもの。ビル経営を行う不動産会社幹部を中心に12名が参加し、ニューヨーク、ボストン、シカゴ、サンディエゴの4都市で高空室率時代におけるビル経営のあり方などを視察した。
 瀬川社長によれば米国のビル市況は、東側のほうから回復に回っているという。
 「ニューヨークをはじめとする東海岸、ロス、サンディエゴなどの西海岸、それと日本の3つの地域の間には市況の波に3~5年くらいのズレがある。80年代半ばから市況が悪化してきた東海岸ではマクロでみると94年に底を打って上昇トレンドに入っている」
 ニューヨークに限ってみた場合、トランプタワーなどが立つミッドタウンは特に回復が顕微で食う私立とリンクする形で募集賃料も上昇している。ワールドトレーディングセンター等があるダウンタウンも依然として募集賃料は下がっているもののミッドタウンからテナントが流れ始めている。
 西海岸はロスで空室率が20%とされるほど一見悪い状態だが、この1年くらいが底で近々反転すると見ている。同じ西海岸でもサンフランシスコの場合は、80年代後半に法規制でビル建設を制限したことから、今なお空室率は5%以下と順調な模様。
 「この流れでいくと、日本の市況回復は、米国西海岸よりさらに数年遅れて、恐らく2000年くらいでは」と瀬川社長はやや悲観的に語る。




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