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借手市場下の契約書見直し どう転んでも損はしない「税金・物価・相場連動型」
1995.12.01 16:23
日本よりオフィス不況が5年早く到来し、また契約社会でもある米国では種々の経済的要因に対してオーナーが損失を被ることを防ぐための工夫が契約書にみられる。
その最たるものが、エスカレーション条項。米国では賃料にサービスの全てを含むグロスリースが主だが、5年、10年という長期の契約期間中におけるコストの上昇分について、この条項を定め上昇分を吸収している。
その主なものは、次の項目。
①共益費。これは清掃費、冷暖房費、エレベーター保守費、警備費、水道費、電気料金を含むもの。これらのコストが上昇した場合、テナントに負担してもらう。
②消費者物価指数。政府発表の指数を賃料に掛け合わせる。
③清掃要員の人件費。これは毎年実施する。
この3項目が主体で、これと組み合わせて毎年、州および市で行う不動産評価に基づく税金の上昇分を負担させる場合もある。これは日本でいえば、固定資産税のようなものだ。
市況との絡みについては2年ごとに賃料改訂する日本の契約形態は「際立ってダウンリスクが大きい」(アーバンコンサルティング・古田幸男社長)との指摘は以前から根強い。
同氏によると、英国の場合は、「25年リースで5年ごとに改定。ただし相場が下がっている場合は従前の賃料を継続」。フランスの場合は、「9年リースで3年ごとにコンストラクション指数に連動して見直し」というもの。期間中の値下げが頻繫な日本に比べ、この違いはあまりにも大きいといえる。