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ニチメン、日産からビル購入し移転 三田NNビル、日本生命と共同オーナーに 旧東京本社のうち、京橋ビルは190億円で売却

1995.10.15 11:21

 朝日ソーラー、浦項製鉄などビルを丸ごと購入するケースが増えている不動産業界にあって、また一つ大手総合商社ニチメンが港区芝に建つ三田NNビルを購入した。同ビルは、日産グループと日本生命が共同所有していたもので、ニチメンでは日産グループ持ち分を500億円で購入した。
 ニチメン(本社大阪市北区・渡利陽社長)では、これまで東京本社機能を自社所有の京橋ビルと日本橋ビルにおいて分散して業務を行って来たが、今年5月竣工した三田NNビルを購入、このたび両ビルの部門を統合し移転を行った。
 三田NNビルは、都営三田線出口に直結と交通至便の場所に建つインテリジェントビル。元々この物件は、日産グループと日本生命が所有する土地の有効活用と、港区、東京都が進めていた再開発事業とが一体となり、商業複合施設として建設されたもの。当初日産側では、所有部分を賃借する予定で、テナント誘致に動いていたが、ビル市場の低迷から思うようにテナントが集まらず、対策に苦慮していたと言う。
 一方ニチメン側では、92年の創立100周年事業の一環として、85年よりプロジェクトチームを結成し、東京本社ビル建設構想を進めていた。しかし同社がビル建設の候補地を捜し始めた頃より、土地が急騰、いわゆるバブル期に突入していった。そうした背景から、同社では本社ビル建設プロジェクトは立ち消え状態になり、結果として100周年にも間に合わなかったという経緯があった。しかし、ここへ来て同社所有のビルが、業務を行う上で手狭になり、さらにOA化に向けてインテリジェントビルへの移転する構想が浮上。日産側が、一棟借りをしてくれるテナントを捜していたこともあり、両社の話し合いが持たれることになったと言う。当初、日産側では売却には難色を示した様だが、最終的には売却やむ無しの判断から、今年の3月13日売買契約が結ばれるに至った。「今回の購入金額は503億円、NNビルの約80%を所有するオーナーとして同ビルの9階から24階を自社で使用し、残りを賃借スペースとして活用する予定です」(ニチメン広報部リーダー古谷良樹氏)
 これに際して、これまで本社として使用していた、京橋ビルは5月に不動産会社恒陽189億円で売却された。残る日本橋ビル(9階建て、延べ床面積約4050坪)は、活用方法を現在検討中。




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