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噂のスクランブル 市場の活気を占うには夏場の動きに注目 昨年は底を打ったが、さらに今年は?
1995.08.15 17:12
夏場は物件の動きが少ない時期ではあるが、逆に市場の”元気さ”の度合いを推し量るバロメーターにもなる。例えばここに、昨年、ある大手仲介業者が自社で客付けした全物件の成約賃料の単純平均を季節ごとに算出したデータがある。
これによれば概算で、1~3月が1万8000円、4~6月が1万5000円、7~9月が1万3500円、10~12月が1万4500円で、昨年1年間の平均では1万4500円となっている(いずれも坪当たり)。
今年は今のところ、1万4000~5000円で推移しているとのことで、これだけとれば昨年の7~9月、つまり夏場に底を打ったといえるが、その一方で今年前半も1カ月単位では1万3000円台の月も出ているという。つまり「昨年夏が本当に底だったのか、それとも単に動きの少ない季節要因だったのかは今年の夏を過ぎればはっきりする」という訳だ。
今年前半の市場の特徴は二極化の著しい進展。客が付くビル、付かないビルが、まず地域で、次いで設備、さらに耐震性なども絡めて極めてシビアに二分されてきている。全体の空室率は依然高いものの「大企業向けの優良ビルが品薄で困っている」という業者の声も聞かれる。
いずれにせよ昨年までのコスト一本やりから今年は、より良い設備、浅い築年の物件が主に選ばれ動いているのは事実。であれば、本来は多少なりとも成約賃料上げってきても良いはずなのだが・・・。