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ひとこと 違法建築放置する行政の対応に憤り

1995.07.15 16:26

 「東京都や区の無責任さには全くあきれてしまいます」
 こう話すのは文京区音羽で花和ビルを経営する大山悦男・同社専務。
 大山さんを憤慨させている元は、同ビルの裏手に建てられた「違法建築」の生コン工場。
 花和ビルのある音羽1丁目は「商業地域」に指定されており、本来であれば生コン・プラントなどの工場は建設できない。ところが工場側は昭和56年2月、工場を「貯歳サイロ」と偽って文京区に申請、建築確認を得た。文京区側は後にこれに気付き、同年の5月12日には工事を停止するよう命令を出したが、これも無視して工場は完成。現在も操業しているという。
 大山さんの花和ビルが建つ一帯は、護国寺や御茶の水女子大、高級マンションなどが並ぶ都内でも有数の一等地。それが生コン工場の操業で一変。「砂利やセメントが運び込まれ、騒音やホコリがひどいうえ、ミキサー車が通学路に出入りして大変危険」
 住民側は大山さんらが中心となり、文京区議会に操業停止を求める請願書を出し、東京地裁には同趣旨の行政所掌を起こすなどした。しかし、「区は『行政指導は都の権限』といい、都は『指導はしているのですが』といいながら、いたずらに歳月ばかりがすぎている」
 大山さんの苦悩は当分続きそうだ。




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