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巨大ビルのテナント&賃料早耳情報

1995.06.15 16:07

新宿マインズ、スクエアは坪1.5万円か  新宿高層ビルでは、なおも賃料の値下げ合戦が盛んだ。苦戦が伝えられていた新宿マインズタワーは、今年10月の誕生に向け、テナントの顔ぶれがかなり具体的になってきた。これまで積水ハウスが、国際興業所有のKビルから移転を決め、4フロアー2千坪を使用する予定。産経新聞が入居している産経ビルの建て替えに伴いモービル石油も移転するという噂も一時流れたが、こちらは来年10月に竣工予定の東京オペラシティへと言う話が有力視されている。さらにオーナー側の立場でもある明治生命も2フロアーを使用。成約賃料は1万5千円が有力。
 オーナー自ら入居する例は、新宿マインズに限らず、住宅都市整備公団が保留床を賃貸している、新宿アイランドタワーも同様。新宿スカイビルに入居している住都公団もアイランドタワーに移転、予定では2フロアーを借りるようだ。スカイビルのオーナーもまた国際興業。同社は同時期に2棟のビルで空室発生の憂き目にあうことにもなる。成約賃料は1万円台後半。
 西新宿地区でも駅からの距離の遠さで苦戦しているのが、新宿スクエアータワー、グリーンタワーなど徒歩15分以上の物件。オーナーとして、住友生命など9社が共同所有する。グリーンタワーでは、これまで、住友林業、アメリカンファミリー生命保険などが入居していたが、かっての7フロアーを占めていたアメリカンファミリーが移転した後、同ビルでは1年以上にわたり8フロアーで空室が続いている。最近になり200坪前後のテナントが決まるなど、多少の空室解消が進み、これに大規模な改修が功を奏したかたち。しかし成約賃料は1万2千円前後と西新宿築では低水準ながら、決まらないのは、やはり、ビルの立地に難点があると思われる。同じく立地面がマイナスに働いていた新宿スクエアタワーの方では、徐々にテナントが決まり出した。成約賃料はグリーンタワーより若干高目の1万5千円前後。ビルのグレードからすれば割安感が出ている。
 この他では、竣工から20年近く経つ新宿住友ビルでは、成約ベースで1万5千円前後。また昨年オープンした新宿パークタワーでも同額の2万円を切った賃料が一般的となって来ている。
(文中の推定賃料は、すべて共益費を含まない数字)

臨海副都心から漏れてくるこれだけの噂 成約ベースで5万円から2万円前半へダウン
 いよいよ今年10月に竣工する臨海副都心では、各企業体による猛烈なテナント誘致合戦が繰り広げられている。当初、それぞれの第3セクター方式で作られた各企業では、自社で自らテナント付けを行っていた。しかしここへ来て、テナント確保が進まない為、大手仲介業者を中心に手数料を支払い積極的にテナント営業に動き出した模様。ある仲介業者営業部長が語る。「少し前までは臨海副都心は仲介手数料が出ないということで、仲介業者からは総スカンを喰っていた。最近になって誘致担当者が直接顔を出し、『一応手数料のようなものを出します』と。『1ヵ月分ですか』と尋ねると、『表向きは半月分でお願いします』といった具合」
 第3セクターの各社のうち、この10月にオープンするビルは、臨海副都心建設の青海フロンティアビルと台場フロンティアビル、テレポートセンターのテレコムセンタービル、さらにタイム24のタイム24ビルの計3棟。延べ床面積約11万坪。
 しかしこれらのビルでテナント確保が出来ているのは、全体で5割そこそこと大苦戦を強いられている。これには、勿論立地の不便さもあるが、これからの事業計画の変更等、不確定な要因が取り巻いている為。さらには賃料面での高さがネックになっている。当初は、募集ベースで5万円と強気の発言が聞こえた程だったが、ここへ来て、都心部の大幅な賃料下落を受けて募集で3万円、成約で2万円前後が関係者の一致した見方。




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