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イトーキがオフィス地震対策セミナー開催 阪神大震災での被害データ基に東京、大阪などで2千人動員
1995.06.01 17:24
オフィス家具最大手のイトーキでは阪神大震災での復旧作業で同社が収集したデータなどを基に、各地で地震対策セミナーを開催した。オフィス内部を対象としたこの種のセミナーは珍しく、約2000名が参加した。
イトーキ(東京都中央区)では、先の阪神大震災においてビルの躯体のみならず内部のオフィス設備、什器の被害が大きかったことを重視し、3月から5月にかけて各地で「オフィスと地震対策」と題したセミナーを開催。延べ2000名の出席をみた。
同社では地震の翌日の1月18日から社内で緊急復旧プロジェクトを組み、現地対応にあたったが、「実際にビル内に入ってみた社員が思わず呆然とするほど凄まじい被害状況。マスコミ報道ではビルの外側の被害ばかり強調されたが、当社で集めた写真やデータをぜひとも知ってもらい対策を講じる必要性があると考えた」(佐藤顕一PR推進室長)
3月10日の大阪を皮切りに5月19日、東京・晴海のビジネスショー会場で開いたものまで、東京で計6回開催したのをはじめ大宮、仙台など主要都市で約20回にわたり開かれた。
各回約2時間にわたるセミナーでは同社が集めた現地での被害状況をもとに、地震対策にあたってのオフィスレイアウトの再考、パーテーション、収納棚、デスクなどそれぞれのオフィス家具のチェック法と補強策などを解説。
セミナー開催の案内は同社の従来からの顧客企業および、官庁への直接通知のみだったが、各社、各団体の防災担当者が出席し各回とも満席状態と盛況だったという。
「地震対策についてコスト別に、また短期、長期別にそれぞれの対応を解説し、非常に熱心に聞いていただいた。会場をあえて100人以下の規模に抑えたことで質疑応答も活発だった」(佐藤室長)。
同社ではこの他、同様の内容を盛り込んだ無料のハンドブックも作成。こちらも好評で、これまでに約3万部が出ているという。