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細川記者のペンを担いで 中小ビルの活性化は景気のバロメーター 規模の経済追及の時代は終わった!!

1995.02.15 10:25

昨年、過去最高の解約面積累計が
▼:三幸エステートの発表によれば昨年のオフィス制約面積は557万㎡で過去最高とか。現在のオフィス需要の大半は移転が伴ってのもの。とすれば、昨年は過去最高のオフィス解約の年。
▼:こうした結果、「大型で、好立地にある、新しく設備の良いビルの稼働率が上がり、中層規模で立地の悪い、古くて設備の劣るビルが厳しい状況にある」が業界の通説。また、「ここにきて分散統合型のような借り替え需要が一段落し、昨年ほどの動きはないのでは」との声も多い。
▼:景気の先行きが限りなく不透明な状態ではこの2極分化の解消は難しいように見える。しかし、中小ビルのオーナーはあまり悲観的にならないで欲しい。なぜなら経済のトレンドが変化しつつあるからだ。今はダウンサイジング、スモールイズビューティフルの時代。規模の経済だけを追求する時代は終わりつつある。
▼:マンモスや恐竜は地球環境が激変する中で絶滅した。今、大企業はリストラに次ぐリストラで延命を図っている。しかし、米国でも日本でも想像力を持った中小企業が躍進している。比較的小さな哺乳類が環境の変化に耐えて地球上に残ったように。コミュニケーションがとり易く、人の個性を生かせる小振りな組織が見直されている。同時に、細かい専門分野に特化して高度な技術を開発した企業が伸びている。
▼:大企業が求める大型ビルの稼働率が上ったのは過渡的現象に過ぎないかもしれない。景気回復後は創意に溢れた中小企業が輩出し、群雄割拠する時代かもしれない。中小企業が求めるのは中小ビルだ。




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