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細川記者のペンを担いで 超高層ビルは本当に安全か
1995.02.01 10:40
▼:テレビも新聞も毎日のように阪神大震災を飽きることなく報じている。倒壊したビルのニュースもかなりある。道路に横倒しになったビルにはショックを受けたオーナーも多かったはず。そうした中でもビクともしなかった神戸クリスタルタワーが明るい話題。
▼:しかし、このクラスの地震に対して超高層ビルは本当に大丈夫なのだろうか。
▼:新宿西口超高層ビルで特異な形で有名なSビル。同ビルの構造計算を担当したかつての技術者にインタビューをする機会を得た。氏によれば、阪神大震災クラスの地震に直撃されても、同ビルが倒壊することはない。しかし、地震の揺れは建物を各方向に揺らしてゆくなかで構造上一番弱い部分にその力を集中してゆく。どこかの階からか傾いてしまう可能性は充分あるとのことだ。
▼:今回の災害でもそうした事例があった。1階部分が店舗のマンションで1階部分のみが壊滅したのは記憶に新しい。
▼:同氏が付け加えて語ったことは、それでも超高層の一番手Mビルや新宿西口のKホテルよりはSビルは耐震性を強化した構造になっていることだ。
▼:とすると今回のような大震災が関東を襲った場合、傾いてしまう超高層ビルが続出してもおかしくない。
▼:ここで、問題にしたいのは傾いた以後の安全対策。現行の建築基準関連法を信頼する余り、ビルに対する過度の期待は避けるべきだろう。落下するはずがないと思い込んでいた高速道路が倒壊した。側道を塞ぎ、以後の救援に支障を来したのが思い出される。転ばぬ先の杖の考え方が必要だ。