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細川記者のペンを担いで 定数以上の利益生むフリーアドレス方式 大宗ビルのお手玉式駐車場が好例
1995.01.15 10:57
▼:日本アイ・ビー・エム箱崎オフィスのグループ・アドレス制を御存知だろうか。同社で営業部員の昼間の在席率を調査したところ30~40%であることが判明。そこで考え出されたのがこの方式。営業部員を50名単位のグループに分け、その75%分のデスクを用意するもの。2300名を対象に行われ、500名分以上のスペースが節約されたという。
▼:これは増床したはずの賃貸スペースが元のままなのだからオーナーにとっては頭の痛い話かもしれない。逆にこの発想から利益を上乗せしているのが大野宗太郎商店のお手玉式駐車場経営。100台以上分の大型駐車場をまず月極ですべて貸し出してしまう。ここでも各時間帯にすべての契約車が駐車している訳ではない。各時間帯の稼働状況を調査して、空きスペースを時間貸しで運用するのがこの方式。場所によっては月極のみの場合の200%の売上げがあるという。
▼:どちらの場合もフリーアドレスがポイント。営業部員も月極契約車も場所を確定してしまうとこの方式は不可。常に空いている場所を使用することになる。
▼:このフリーアドレスは米国の航空会社でも活用されている。飛行機は常に満席で運航している訳ではない。通常料金で指定座席を販売する一方、空席を格安料金で販売する。当然、発着時間は確定できないが、低料金を納得して利用するユーザーは多い。価格破壊と好業績を両立させている好例。景気がどう変化しようといつの地代でもアイデアが利益を生む。