不動産トピックス

【11/2号・今週の最終面特集】超高層ビルの共用部リノベーション事例

2026.11.02 10:28

「サンシャイン60」過去最大規模の共用部リノベ ワーカーサポートエリア「ロクマルBase」のラウンジオープン
 三菱地所グループのサンシャインシティ(東京都豊島区)は今年3月から、「サンシャイン60」のバリューアップを目的にオフィスビル共用部のリノベーションを開始。ワーカーサポートエリアとして再構築し、新たに「ロクマルBase」と命名。プロジェクトの第1弾として、6階北ラウンジの「-60- Lounge(ロクマルラウンジ)」と、4階北西ラウンジ「Lagoon Lounge(ラグーンラウンジ)」の2つがオープンした。

2028年に開業50周年 施設満足度の向上目指す
 サンシャインシティが運営管理する「サンシャイン60」は、1978年竣工の地上60階地下4階建て。1フロアは約600坪。オフィス床面積は合計3・4万坪にもなる、池袋エリア最大級のオフィスビル。今年2月時点で80を超える企業が入居しており、ビル内の就業者数は約1万2000人。国内有数のターミナルJR「池袋」駅から徒歩8分ほどに位置し、東京メトロ有楽町線「東池袋」駅からは地下通路で直結。新耐震性能を備える。超高圧変電所からの直接受電設備も採用。災害時のBCP対応を意識した機能性を有しており、オフィスだけでなく商業やエンターテインメント施設との複合力を生かして街のにぎわいづくりに貢献してきた。
 一方ビルとしては間もなく開業50周年を迎える。定期的にビルのバリューアップや改修などを行ってきたが、今回は2028年に開業50周年の節目を迎えるにあたって、過去最大規模のオフィス共用部のリノベーションを計画。対象はテナント専用の食堂や大規模ラウンジなどで、従前からあった施設に手を加えるのではなく、既存の6階テナント専用食堂を全面リノベーション。4階でも新たな施設の開設を計画しており、4階北西の「Lagoon Lounge」が8月18日に、9月1日に6階北側の「-60- Lounge」がオープンした。
 執行役員オフィス事業部長の藤田宗克氏はリノベーション実施の背景について、「サンシャインシティで働くオフィスワーカーの働きやすさと施設満足度の向上、またウェルビーイングの実現を図るために取り組みました。構想におよそ4~5年かけ、本格的に動き出したのは2年半以上前からです。照明や音、素材にもこだわりながら、2つのラウンジ構築を皮切りに、テナント専用食堂のリノベーションやテナント専用貸会議室の新設なども順次進めて行きます。ワーカーサポートエリア『ロクマルBase』としてつくり、今後も働く人のウェルビーイング向上に寄与する環境づくりを目指します」と語る。

選択できる空間を提供 160席以上の座席用意
 本プロジェクトが目指す姿は「なんかいいこと、ある オフィス」。同地で働くワーカーの1人ひとりが、オンとオフを問わず、自分にとって「いいこと」を選択できる空間の提供を行う。そのような視点から「-60- Lounge」では、さまざまな座席やスペースを用意。ビッグテーブルやハイバックチェアをはじめ、仮眠室、ソロワークおよびテレワークブース(4部屋)、BOX席などもつくった。座席数は160席以上にもおよび、就業者の働き方や過ごし方に合わせて座席を選択できる。ラウンジ内には付帯施設としてコンビニとカフェ「-60- Coffee」を設置。専用ブレンドコーヒーとともに、ベーカリーから仕入れた本格パンなども販売している。
 オフィス事業部 サブリーダーの佐藤未希氏は「ビル内には就業者向けとして設けた既存の共用スペースがありました。コロナ禍では感染症対策として個人での利用・需要はありましたが、外に利用待ちの行列ができるほど混雑していました。テナント向けのサービスを拡充すべく、また就業者のウェルビーイングに寄与すべく、『ロクマルBase』を企画。動かしやすい什器を採用した『フレキシブルスペース』もつくり、サンシャインシティで働く全ての就業者を対象としたイベント開催も想定しています。サードプレイスとして機能しつつ、社内やその他の就業者とのコミュニケーションや交流の場としても活用できます。出勤前後のプライベートな時間も含めて、一日中自分らしく過ごせる空間となりました」と話す。
 4階北西の「Lagoon Lounge」は、サンシャインシティの象徴的な施設である「サンシャイン水族館」から着想を得たデザインを採用。主にランチタイムのクイックな利用を想定したラウンジとなった。水面のようなデザインの照明、波型のパーテーション、海を想起させるカラーリングや絵画装飾を採用。壁面は同水族館が沖縄県恩納村協力のもと、取り組むサンゴ保全活動にちなみ、沖縄県産のサンゴのアップサイクル材を使用している。従来のラウンジでは2人席での1人利用が多く見られたため、カウンター席に変更して利用率を高めるレイアウトにした。こちらも待機列の解消につながった。

ウェルビーイングの実現 主に4つの取り組み実施
 ウェルビーイングといっても取り組み内容はさまざま。同社では主に4つを中心に行った。1つ目は、生活リズムを整えるサーカディアン照明。ラウンジ内の照明が、時間帯ごとに色温度や明るさが変化する。人の体内で刻まれるサーカディアンリズム(睡眠と覚醒のサイクルや血圧・体温・ホルモン分泌などに作用する生体リズム)を整える効果が期待される。2つ目は、音と香りの演出。ラウンジ内にリラックスやリフレッシュを促すエッセンシャルオイルの香りを導入。仮眠室やソロワーク内には、目的に特化した音響システム「sound veil」を採用。快適な睡眠のサポートや集中できる空間づくりを音で演出した。
 3つ目が、待ち時間なしで使える仮眠室と2種類のブース。仮眠室やテレワークブースなどは事前予約が可能。こちらも待ち時間なしで利用できるため、就業者にとっては効率的。4つ目が1人ひとりのワークスタイルを支えるカフェ。「-60- Coffee」では仕事中にも気軽に食べられるサンドウィッチなどの軽食メニュー、休憩時のリフレッシュに最適なスープ、デザートドリンク等も提供。ラウンジ内における快適なワークスタイルの実現を食事面でもサポートする。
 現在も同じフロアで、プロジェクト第2弾ともなる別のラウンジ開業に向けて工事が続いている。4階北東では「Park Lounge」が来年2月にオープン予定。7月には4階にテナント専用会議室「Meeting Room」がオープンする。さらに8月には6階にテナント専用食堂「-60- Kitchen」が誕生する。
 「ロクマルBase」の充実とともに、今後はソフトサービスやイベント開催にも積極的に注力していく方針だ。




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