不動産トピックス

【10/5号・今週の最終面特集】今見直すべき施設!喫煙所のバリューアップ

2026.10.05 10:09

公衆喫煙所ブランド「THE TOBACCO」運営数330拠点突破
喫煙所の環境改善で物件の資産価値に貢献
毎日ビルディング管理の「パレスサイドビル」1階の喫煙所が2024年7月劇的に変化
 新しいかたちの公衆喫煙所ブランド「THE TOBACCO(ザ・タバコ)」を展開しているコソド(東京都中央区)。東京や大阪といった都市部を中心に出店を拡大しており、運営数は330拠点を突破した。その中に毎日ビルディング(東京都千代田区)が運営管理している「パレスサイドビル」もある。同ビル1階の喫煙所に手を加え、2024年7月に「THE TOBACCO TAKEBASHI SECOND」へと生まれ変わった。


喫煙所の環境改善 運営管理も請け負う
 2019年9月設立のコソドは、「喫煙のあり方をイノベーションする」をコンセプトに喫煙所運営のTHE TOBACCOを展開。都市および建物内における喫煙空間を改善させ、新しい価値創造の場へと進化させるプロデュースや店舗展開を行っている。
 THE TOBACCOは、非喫煙者と喫煙者が心地よく共存できることを目指した新しいかたちの公衆喫煙所。快適で洗練された環境づくりを行いつつ、サイネージを活用した情報発信の「BREAK」、リアルな体験を伴うプロモーションおよび販促サービス「BREAK TOUCH」などを組み合わせることで、単なる喫煙所の枠を超えたプラットフォームを提供してきた。またナッジ的なアプローチ(行動経済学)を活用した投票型喫煙所「ASK THE TOBACCO」の提案や無水灰皿「NOQUA」も開発。これらと組み合わせることで、より街や建物に溶け込んだ喫煙所を手掛けてきた。
 ビル内におけるTHE TOBACCOの場合、既存喫煙所の環境改善や運営管理をコソドが請け負う。最初に既存喫煙所の状態を確認。特にタバコの臭い漏れや壁のシミ・変色、清潔さや管理が行き届いているかなどもチェック。その調査結果とオーナーおよび管理会社が抱えている課題を踏まえて、最適かつさらに快適性が高まるプランを提案。前述の「BREAK」や「BREAK TOUCH」なども活用することでイメージ改善とともに、販促や商品のPRなどにもつなげることができる。オーナーおよび管理会社が行ってきた喫煙所の管理業務もアウトソーシングでき、業務負担も軽減できる。
 「パレスサイドビル」を運営管理する毎日ビルディングは、2013年にビル1階へ喫煙所を設置。排気ファンとカウンターがある簡素な喫煙所であったが、2015年に千代田区の助成金を活用して分煙カウンターを導入。さらに1階の東側だけにあった喫煙所を西側にもつくった。喫煙者にとっては好ましい環境であったが、タバコの臭いがどうしても喫煙所の外へ漏れてしまい、一部テナントや就業者から改善の声が寄せられていた。煙もビルの外へ排気していたため、改善が求められていた。
 施設管理部 部長の中村秀洋氏は「コロナ禍では感染症対策や密回避の視点から人数制限を行っていましたが、その影響で喫煙所の外に長蛇の列が発生してしまい、喫煙者も不便に感じていたと思います。『パレスサイドビル』は、駅直結のオフィス・店舗の複合ビルであり、入居テナントの就業者だけでなく来館者も多い建物です。館外の方も喫煙所を利用しますので、早めの対処が必要でした。喫煙所内に設置したサイネージの運営会社が、サイネージの運営業務から撤退する際に紹介されたのがコソド様です。現状の課題を伝えて、運営管理業務をお任せすることとなりました」と語った。

臭いと室内環境を改善 喫煙所外の待機列も解消
 コソドの提案としては大きく2つ。1つ目は臭い。タバコの煙の回収方法を改善・見直すため、2台ある分煙機を撤去して調査を実施。調査結果を踏まえて、臭いが外へ漏れないよう改善しつつ、灰皿も無水灰皿に変えた。2つ目は室内環境の改善。暗くなりがちな喫煙所の室内をカラフルな緑を基調としたデザインへ変更。「パレスサイドビル」の持つ歴史や雰囲気も加味したデザインに仕上がり、印象も大きく変わった。設置した無水灰皿もスタイリッシュなデザインとなり、喫煙者にとっては快適な空間になった。
 コソド 取締役CDOの若杉健太氏は「以前はすし詰めのように利用されていた喫煙所が広々と快適かつオシャレな空間に生まれ変わりました。紙巻きと加熱式のエリア分煙にもつながりながら、待機列も無くなりました。ちなみに改修の手続きや申請だけでなく、その後の運営管理業務や助成金申請も一括で請け負います。オーナーや管理会社にとっては手離れが良く、特に汚水処理などから解放されることも魅力的でしょう」と述べた。


喫煙者をビルのリピーターに変えるきっかけに
 取材で見えてきたのが、喫煙所に対して適切な運営管理や清掃が行き届いているビルが少ないこと。大半のビルでは、清掃業務を委託しているビルメンテナンス会社へ喫煙所の清掃も一緒に依頼していることと思われる。しかし一般的な清掃のみでは継続して快適性や美観を保つことは難しく、タバコの臭いを抑えることや室内の劣化(壁面の汚れなど)を食い止めることにはつながらない。清掃業務だけではなく、中長期目線で喫煙所をしっかりと管理する立場の人が必要になる。
 また喫煙所をあえてビル内に設けないケースもある。非喫煙者からは好まれるが、喫煙者にとっては不便を感じやすい。双方にとって魅力的なビルを目指す場合、喫煙者には快適かつ使いやすい喫煙所をつくること。一方非喫煙者にはタバコの臭いなどの不快さが影響しない環境つくりが大事になる。
 「パレスサイドビル」の場合、入居テナント以外の来館者による利用も見られる。駅直結のビルであれば、低層階に物販や飲食と行った商業店舗が入居することが多い。そのようなビルの来館者にも気持ちよく喫煙所を利用してもらい、リピーターになってもらうことも視野に入れると、喫煙所の運営管理ができる専門の企業へ委託することが好ましいかもしれない。




週刊不動産経営編集部  YouTube