不動産トピックス

【9/14号・今週の最終面特集】物件の魅力を引き出すリーシング オフィス仲介の動向

2026.09.14 10:20

不動産特化型のマーケティング会社設立
AIを活用して動画作成 物件の特徴をより具体的に可視化
 都市部のオフィスマーケットは東京だけでなく、大阪や福岡でも好調と聞く。このタイミングで支店や営業所を開設したり、もっと良い立地に拡張移転する不動産事業者が増えている。また開設だけでなく、新たなサービスを開始し、新規顧客の開拓や既存顧客の満足度を高める動きもある。

仲介会社のスリースター 7月1日に大阪支店開設
 賃貸オフィスの仲介会社であるスリースター(東京都港区)は、7月1日に大阪支店を開設。同時にオフィスビルを中心とした、貸主支援の不動産特化型のマーケティング会社・VIEWLITY(ビューリティ)も設立した。
 スリースターは賃貸オフィスビルの仲介業務や募集代行、LM(リーシングマネジメント)、マーケティング支援や内装コンサルティングなどを展開している。昨今は賃貸オフィスの検索サイト「officetar(オフィスター)」、居抜きオフィス検索サイト「vivit(ビビット)」、セットアップオフィス検索サイト「RAKNA(ラクナ)」など、テーマに特化したウェブサービスも多数展開。移転検討中の企業やビルオーナー、PM・AM会社など、数多くの法人顧客リストを抱えており、彼らの需要に合致した内容をダイレクトで提案している。
 これらの実績や知見を生かす形で、7月に大阪支店を開設。今回は単なる仲介エリアの拡大ではなく、関西におけるセットアップオフィス市場の拡大を目的とした拠点。背景には市内中心部の主要オフィスエリアにおける、オフィス需要の増加と新規成約賃料を値上げしたいビルオーナーの思いがある。新築および好立地のビルを中心にオフィス需要が高まっており、空室の解消も進んでいる。このタイミングで新規成約賃料を値上げしたいオーナーは多く、またテナントも移転等における業務負担を軽減したいなどの思惑がある。

見栄えの良いオフィス 企業イメージの向上に
 昨今は就業者の働きやすい環境やレイアウト、さらに就業者同士のコミュニケーション促進を図るしつらえのセットアップオフィスが増えている。ウェルビーイングの視点や採用活動の強化および既存社員の定着にもつながると、注目度は高い。見栄えの良いオフィスであると、企業イメージの向上にも貢献。移転後すぐに業務を開始できる点も好評だ。昨今は内装業者の確保も難しくなっているため、今後は「什器付きのセットアップオフィスが定番の貸し方になるのでは」と見ている業者もいるほどだ。
 スリースターはオーナーおよび不動産事業者などへセットアップオフィスを提案しつつ、リーシングマネジメント(LM)や企画のアドバイザリーなどへつなげていきたい思いがある。また都心だけでなく、関西での実績や事例も増やしていく姿勢だ。VIEWLITYの福田勇人氏は「現在関西エリアは空室の解消、成約賃料の上昇傾向とともに、増床意欲の高い企業が増えています。2030年を目標とした大阪IRも控えていますので、まだまだ成長の可能性があります。ベンチャー等のニーズも加味しますと、最適なサイズのレンジは15~30坪ほど。コンパクトな規模であれば受け入れやすく、賃料も上げやすいです。大通りから1本内に入った場所に建つオフィスビルでも賃料の値上げが期待できます」と語った。

VIEWLITY誕生 オフィスビル対象に展開
 そんな福田氏は7月1日から、新たに設立したVIEWLITYの代表取締役に就任した。VIEWLITYはオフィスビルを中心に、不動産オーナーやデベロッパー、貸主などを支援する不動産特化型のマーケティング会社。セットアップオフィスの企画やコンサルティング、市場調査などを行いつつ、物件のカタログといったリーシングツールの作成やAIを活用した動画作成なども手掛ける。動画はパース画像からAIで編集でき、図面を書かずに作成できるとのこと。映像制作・編集の実務経験を持つ人材も新たに加わり、その専門的な知見と、スリースターがこれまで不動産領域で培ってきた実績やノウハウを掛け合わせながら、サービスを展開していく。
 福田氏は「従来の募集資料では扱われにくかった物件の特徴をパンフレット、ウェブサイト、AI動画などを通じて可視化するとともに、問い合わせや内見などから得られる市場の声も整理します。これら整理した情報を募集改善や物件企画に生かせる内容として提供していきます。毎月1本の作成を目標に展開していきます」と語った。  リーシングツールの作成は既存のテナントビルだけでなく、現在建設中や今後建設(建替え)予定の物件でも可能。同機能を生かせば、より戦略的な客付けが可能になる。

HATARABA名古屋支店を拡張移転
 オフィス移転コンサルティングやオフィス仲介サービス、賃貸オフィス検索サイト「HATARABAオフィス」などを展開するHATARABA(東京都渋谷区)は、事業拡大と名古屋を中心とした東海エリアの体制強化に伴い、名古屋支店を8月24日付で同じ「名古屋鴻池ビル」内の3階へ拡張移転した。
 HATARABAは2004年の設立以来、オフィス移転コンサルティング、オフィス仲介などを中心に展開するコンサルティング会社。オフィス移転やオフィスでの困りごとに関連する相談件数は、年間3000件以上。渋谷の本社に加え、神田や虎ノ門、大阪、名古屋、福岡、札幌などの支店から、地域ごとに最適なソリューションを提供している。
 今回拡張移転した名古屋支店は、名古屋市営地下鉄東山線・鶴舞線「伏見」駅から徒歩3分の「名古屋鴻池ビル」に入居。名古屋を中心とした東海エリアで、企業のオフィス移転や新設、レイアウト変更など「はたらく場所」づくりをサポートしてきた。事業拡大に伴い支店の体制強化を進める中で、今後の人員増加や事業成長に対応できるオフィス環境を整える必要性が高まっていった。HATARABAでは社員同士のコミュニケーションを取りやすく働きやすい環境を整えるとともに、顧客へのサポート体制をさらに強化するため、同じビル内で1階より広い3階オフィスへ拡張移転した。
 現在の名古屋のオフィスマーケットは、企業の拡張やオフィス環境の改善を目的とした移転需要が堅調に推移。現状の空室率は低水準で賃料も上昇傾向が続いている。立地や面積など希望条件に合ったオフィスの確保には、これまで以上に多様な情報収集と迅速な意思決定が求められている。こうした市場環境の中で名古屋支店では、東海エリアの物件情報の収集やオフィスマーケット把握はもちろん、企業ごとの事業計画を踏まえたオフィス選びをサポートする。

シンプルで無駄のないデザイン 働きやすさと協調性両立
 今回の移転について支店長の村上諒氏は「空室率が低い状況が続く中、希望条件に合った物件を探すだけでは、企業にとって最適なオフィスを実現することが難しくなっています。だからこそ当社は、単に『物件を紹介する』のではなく、企業の事業計画や採用計画、組織の成長まで見据え、数年先の姿からオフィス戦略を共に考える存在でありたいと思っています。一度の移転で終わるのではなく、その後の成長や変化にも寄り添う『長期的なパートナー』であることが、私たちの目指す姿です」とコメントした。
 新しいオフィスは限られた面積を最大限に生かし、機能性と快適性を両立したレイアウト設計を採用。エントランスや来客スペースでは、訪問者に「名古屋らしさ」を感じられる空間づくりを意識。400年以上の歴史を持つ名古屋の伝統工芸「有松絞り」の意匠をモチーフに取り入れたほか、名古屋提灯の技法や趣を感じさせる丸型の和紙ペンダントライトを採用。地域の伝統や文化を現代的なオフィスデザインに落とし込んだ。
 また実用面でも働きやすさと協調性を両立させるために、シンプルで無駄のないデザインと、機動力のある執務・打合せ空間の構成を重視。限られた空間でも少人数でのクイックなディスカッションや柔軟なワークスタイルが実現する。本移転を機に、より一層地域に根差したオフィス提案を強化し、名古屋企業の働き方のアップデートを支援していく。




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