不動産トピックス
【7/13号・今週の最終面特集】新たな賃貸需要に注目!研究機能付きのラボ・オフィス

2026.07.13 11:31
バイオテクノロジーや医療などの研究施設に着目
10月末竣工の「J.NODE Lab箕面船場」
昨今研究開発のできるラボ機能と、事務所利用が可能な賃貸オフィスを組み合わせた「賃貸ラボ・オフィス」が注目を集めている。ターミナル駅至近の立地環境とまでは言わないが都市部へのアクセスに優れた物件が増えており、ベンチャー・スタートアップの創出と集積に期待がかかる。関西圏では現在賃貸ラボ・オフィスが限定的と、供給に対して需要は旺盛だ。
「J.NODE Lab健都」地検生かして2棟目開発
JR西日本不動産開発(大阪市北区)は、北大阪急行線「箕面船場阪大前」駅から徒歩4分、新御堂筋沿いで賃貸ラボ・オフィス「J.NODE Lab箕面船場」の建設を進めている。竣工は今年10月末の予定だ。
現在建設中の賃貸ラボ・オフィスは、S造の地上7階建て。延床面積は約6565・27㎡。敷地面積は約1184・12㎡。2022年3月に竣工した地上7階建て、JR「岸辺」駅から徒歩8分の「J.NODE Lab健都(旧:健都イノベーションパークNKビル)」に続き、手掛ける賃貸ラボ・オフィスとしては2棟目。昨今バイオテクノロジーや医療などにおける研究施設の需要が伸びており、国および地方自治体でも積極的にそれら分野の企業に対して支援を強化している。大学や専門機関等の学術界でも研究支援やイノベーション創出を促している一方、需要に対して施設の供給が追いついていない。
JR西日本不動産開発は同需要に着目しつつ、箕面市で取得した土地のポテンシャルや優位性にも注目。最寄り駅徒歩4分のアクセス性に優れていること、24年3月からOsaka Metro御堂筋線との直通運転が開始されたことにより梅田・なんば・新大阪といった都心まで乗り換えなしで移動できること、関西国際空港やICにも近接している点を踏まえて、用途を賃貸ラボ・オフィスとした。箕面市も同施設が箕面船場エリアでの研究拠点の集積につながるものと捉えており情報交換を進めている。
特徴は、研究と事業を1つの拠点で完結できること。ラボ・オフィスは、局所排気装置をはじめとした実験機器設置を考慮した設計。遺伝子組み換え実験はP2レベル以下まで可能。バイオセーフティレベルもレベル2までの実験が可能。床耐荷重は1階でスラブ1500kg/㎡(OAなし)。2階以上はスラブ500kg/㎡(OAあり)。電気容量も一般的なオフィスより充分な量を確保した。基準階貸室面積は約754・47㎡。分割も可能で、最小約92・80㎡まで小割にできる。一般的なオフィスとしても利用できる。
まちづくり事業本部の小谷梨菜氏は「主にヘルスケア等のライフサイエンス分野をターゲットとしつつ、バイオテクノロジー、工学、AI等の分野の研究開発ニーズにも対応していきます。また大阪大学や彩都ライフサイエンスパーク、『J.NODE Lab健都』も含まれる北大阪健康医療都市とも近接しており、連携・交流も今後検討を進めていく方針です。特に『J.NODE Lab健都』には、入居者・利用者同士の交流を促す共用ラウンジがあります。定期的にイベント等を開催しているため、当ビルのテナントも参加できる仕組みづくりを進めていきます」と語った。
すでに複数社から入居等の問い合わせが来ており、その多くが関西の企業。関西圏で賃貸ラボ・オフィスの機能を有する施設は限られており、他の施設の空き状況等も見ながら移転先を探している企業は多い。また大学発のベンチャー・スタートアップや研究機関では、大学内で入居可能な期間が決まっており、一定年数を超えると退去しなければならない。彼ら企業の受け皿になるとも思われている。同社はこれらニーズに応えつつ、同地における研究機関・研究環境の醸成に寄与していく姿勢だ。
<物件概要>
●物件名:J.NODE Lab箕面船場
●住所:大阪府箕面市船場西2-2-2
●延床面積:約6565.27㎡
●敷地面積:約1184.12㎡
●基準階貸室面積:約754.47㎡
●構造・規模:S造、地上7階
●竣工予定:2026年10月末
東京建物初の賃貸ラボ・オフィス開発
竣工後はソフト面でもビジネスをサポート
「箕面船場阪大前」駅至近 竣工は来年12月下旬
東京建物(東京都中央区)は大阪府箕面市において、「(仮称)箕面船場東一丁目賃貸ラボプロジェクト」を進めている。竣工は来年12月下旬の予定だ。
同プロジェクトは、東京建物初の賃貸ラボ・オフィスの開発事業。箕面船場エリアの東部、北大阪急行電鉄南北線「箕面船場阪大前」駅から徒歩8分に立地。2024年11月に平面時間貸し駐車場だった土地を取得。昨今政府が支援強化を進めている創薬・再生医療・バイオテックといった「ライフサイエンス分野」と、「スタートアップとの協業の場」、「プロジェクト単位で柔軟に共同研究施設を構えたい」などの企業ニーズが増加傾向である点に着目。一方で同需要に対応できる施設の供給は限定的。早期に実験環境や産学官ネットワークを一体的に提供する「賃貸型のライフサイエンスラボ」の整備が必要と感じ取り組むこととなった。
また開発地の立地環境も影響している。北大阪急行線の延伸とOsaka Metroとの直通開始により、「箕面船場阪大前」駅から「新大阪」駅まで約16分、「梅田」駅まで約23分、さらに「大阪空港」駅まで約22分と、大阪市内はもとより全国規模での交通利便性が増した。また同駅周辺では開発や新たなまちづくりが進行しており、昨今は住宅だけでなく商業施設や劇場等の複合開発も進んでいる。住居以外の開発が進むことで、今後も継続して賑わいが増していくことが想定される。
加えてライフサイエンス分野の研究が盛んな大阪大学吹田キャンパスにも近い。大学や公的研究機関における研究職(アカデミア)と近接な環境であること、ベンチャー・スタートアップの誘致もしやすい点なども同開発につながっている。また伝統的に業務色の強い大阪船場繊維卸商団地内に同プロジェクトは位置し、一定程度の親和性も期待できる。
「(仮称)箕面船場東一丁目賃貸ラボプロジェクト」は、今年2月7日に着工。規模はS造の地上13階建て。延床面積は1万4478㎡。敷地面積は2127・31㎡。基準階貸室面積は約813㎡(約246坪)。天井高2700mmで、床耐荷重は500kg/㎡。OA床は300mm。電気容量は300VA/㎡とラボ設備用に大きく、給排水設備も室内に引き込み可能。ドラフトチャンバー(局所排気装置)やスクラバー(排ガス処理装置)といった排気設備も設置可能だ。ちなみにオフィスは1フロアの利用から、最小区画約20坪までの分割も可能。バイオセーフティレベル(BSL)2まで対応している。
関西支店 ビル事業部の山本優心氏は「オフィス区画は2~13階までで、1階には入居者専用の共用ラウンジや店舗区画、機械式駐車場などを設置します。特に共用ラウンジでは、スタートアップへの企業支援や産学官交流に資するイベント等の開催を予定しています。ソフト面でもビジネスをサポートしていく想定です。また主な誘致対象は、大学発のスタートアップ企業や実験・研究機能を有する製薬・食品・化粧品メーカー等です。こうした企業等の多様なニーズに応える、きめ細やかな商品設計が特徴となっています」と語った。リーシングは始まったばかりだが、既に各方面から問い合わせが来ている。
東京建物では2030年を見据えた長期ビジョン「次世代デベロッパーへ」において、新規事業の確立を現中期経営計画期間(2025~27年)の重点戦略の一つと位置付けている。インフラ・インダストリー領域では賃貸ラボ・オフィス事業のほかに、同社初となるデータセンターの着工実施。その他、都立公園初となるPark―PFI事業による「都立明治公園」の整備も実施。今後はこれら新規事業について幅広く取り組んでいく。
<物件概要>
「(仮称)箕面船場東一丁目賃貸ラボプロジェクト」
●所在地:大阪府箕面市船場東1-12-10(地番)
●延床面積:1万4478㎡
●敷地面積:2127.31㎡
●基準階貸室面積:約813㎡
●構造・規模:S造、地上13階
●竣工予定:2027年12月下旬



