不動産トピックス
【6/29号・今週の最終面特集】人手不足時代のビジネス新常識

2026.06.29 10:38
障害者雇用率制度の対象が拡大
企業の障がい者雇用を募集から採用後までサポート
人手不足は業種を問わず多くの企業が抱える経営課題だ。一方でその解決への道筋はさまざまなアプローチが考えられる。人手不足問題の解消につながるアイディアを紹介していく。
民間企業の法定雇用率が7月から2.7%に引き上げ
人手不足が慢性的な社会課題となるなか、各企業においては人材の採用と定着が経営の最重要課題となっている。特に、多くの経営者が頭を悩ませているのが、障がい者雇用への対応である。
障害者雇用促進法を根拠とする障害者雇用率制度は、障がい者の雇用機会の確保を目的に民間企業や国・自治体に一定以上の割合で障がい者の雇用を義務付けるものである。現在の民間企業の法定雇用率は2・5%であり、常用労働者数が40人以上であると制度の対象となる。この法定雇用率は本年7月に2・7%へ引き上げられる予定となっており、雇用義務の対象となる民間企業は常用労働者数が37・5人以上と、制度の対象となる企業がこれまで以上に増加。不動産業界においては、中小規模の不動産会社やハウスメーカーなど対象の裾野が拡大し、各社では本格的な対応を迫られることとなる。
厚生労働省のデータによれば、不動産業・物品賃貸業の法定雇用率達成企業の割合は、全産業の平均に比べ低い水準にとどまっている。契約などの場面は対面での業務が中心となるほか、物件の内覧や立ち合いといった現地での業務も多い点、入力作業から顧客対応といった幅広い業務をマルチタスクでこなす文化が根強く、障がい者が定着しやすい「定型化された事務業務」を切り出すのが困難な点が、不動産業界において法定雇用率未達成が多い要因といえる。未達成の企業に対しては1人につき月額5万円の「障害者雇用納付金」を徴収される。また未達成の状況が改善されなければ行政指導や、企業名の公表といったリスクもある。コンプライアンス重視の時代において「障がい者雇用を軽視している企業」というレッテルは、企業のブランドイメージを著しく毀損することとなってしまう。
学習塾や児童福祉事業を全国展開しているクラ・ゼミ(浜松市中央区)では、障がい者の雇用を目指す企業を支援する「障害者雇用相談援助事業者」の認定を受けており、一連のサポートを無料(全額国費負担)で提供している。執行役員障がい者雇用サポート事業部の河合俊通部長は、「当社による相談援助は、経営層や現場で従事する従業員への理解促進から始まり、実際に障がい者の方が働く職務の創出や募集・採用の支援、採用後のサポートまでを一気通貫で行っております。障がい者の方のサポートだけでなく周囲で働く従業員の方々へのサポートや研修指導も行いますので、障がい者雇用に対する従業員間の心理的ハードルを下げることもできます」と話す。「障害者雇用相談援助事業」は国の無料援助事業であるため企業側の負担は無く、障がい者雇用を契機に社内のDX化推進に努めていきたいところだ。
営業社員の土日祝定休を促進
三井不動産グループで住宅事業を担う三井不動産レジデンシャル(東京都中央区)は、東京・新宿の販売拠点をリニューアルオープンした。
今回リニューアルオープンしたのは新宿区西新宿の「西新宿三井ビルディング」21階にある「三井のすまい 新宿サロン」。従来はモデルルームの見学と営業社員による商談がセットで行われ、見学希望が休日に集中することで日程調整が難しく、また半日程度の時間を要するなど、顧客にとっての負担が大きくなっていた。そこで、モデルルーム見学と商談を分けて選択できる新しいスタイルを採用。顧客は施設内の見学のみを平日・休日を問わず任意の時間に行うことができる。このほか、希望者は同ビル別フロアにある商談スペースにて営業社員との商談も行うことが可能となっている。
三井不動産レジデンシャルでは顧客の利便性だけでなく、従業員の職場環境の改善にも取り組んでおり、営業社員の「土日祝定休」を導入している。営業イノベーション部営業イノベーショングループの玉村拓也主任は「『三井のすまい 新宿サロン』では、営業社員の同行がなくとも施設内の見学ができるようになったことで、営業社員の土日祝定休の推進が可能となりました。商談はオンラインと対面のどちらにも対応し、休日に施設を見学していただき、その後の平日に商談といった、お客様のご都合に合わせて住宅購入をご検討頂くことができます」と述べている。
AIが対話でアプリを自動生成 最短3分で業務ソフトを開発し効率化に貢献
ビジネス向けのソフトウェアやサービスの開発・販売を行っているアステリア(東京都渋谷区)は、100%子会社のアステリアキャンバス(東京都渋谷区)とともに、AIを活用して最短3分で業務用ソフトウェアを開発し運用や改善、保守までを自律的に支援する業務プラットフォーム「Bakusoku.AI(バクソク エーアイ)」の提供を8月1日より開始する。また、法人向けの「Platio Canvas AI(プラティオ キャンバス エーアイ)」の提供を8月下旬より開始する。
限られた人的リソースで高いパフォーマンスを発揮するための手法として、AIの活用に積極的に乗り出す企業が増えている。なかでも、業務効率化を図る取り組みとして、AIを用いて自社の事業内容に合わせた業務用ソフトウェアの開発を行うケースが増加している一方で、ソフトウェアの開発には専門的な知識や技能を持つエンジニアの存在が不可欠であった。アステリアグループでは、「Platio」や「Click」といったアプリ開発ツールを手掛けているが、これらの特徴は専門的なコードは不要でプログラミングの知識がなくても視覚的、直感的な操作でアプリ開発ができる「ノーコード」と呼ばれる技術である。今回発表した「Bakusoku.AI」は同社が蓄積してきたノーコード技術をベースに開発され、対話形式で業務用ソフトウェアを生成することができる。
アステリアキャンバスの代表取締役CEOの工藤亮太氏は「私たちはノーコード技術を用いたアプリ開発ツールを提供し、これまでに顧客が生成したアプリは8万件以上にのぼります。そのノウハウをもとに開発された『Bakusoku.AI』は、構築したいソフトウェアの要件を対話形式で入力するだけで、AIがコードの生成からソフトウェアの構築、完成後の運用改善までサポートします」と話す。アステリアの平野洋一郎代表取締役社長は「今後は『Bakusoku.AI』の周知に努め、3年間で5億円の売上規模を目指します。また多言語版の開発も進め、日本だけでなく海外での展開も視野に入れています」と抱負を述べる。
今月23日に行われた記者発表会には工藤氏、平野氏のほか、お笑いコンビ・マユリカが登場。撮影現場や劇場など、仕事の合間の移動が多いという2人のために、日々のスケジュール管理を行うアプリの開発をデモンストレーション。最短3分でアプリ開発するスピード感に驚きの声を上げた。



