週刊ビル経営・今週の注目記事
毎週月曜日更新
空き家や築古ビルを「負動産」にしない 成功事例を発信して流通・活用を推進へ
2026.05.25 11:13
不動産エージェントとユーザーのマッチングプラットフォームを提供するAgent Connect(東京都新宿区)では、空き家や築古ビルの流通や活用に関する成功事例に関する情報発信を強化している。
空き家特措法が施行した2015年ごろから空き家問題は社会課題として顕在化する。全国の空き家戸数は2018年時点で840万戸、現在は900万戸に達したと見られる。この間、不動産業界においてもこの社会課題に対応しようと、空き家の管理・売却、住宅用途から店舗あるいは民泊などの活用を提案する企業が出てきているが、好転の兆しは見えない。さらにAgent Connectは、なかなか流通や活用が進まない背景について「不動産営業担当者にとって『手間のかかる案件』に映っている」こともあると指摘する。
「空き家を所有し続ける」ことのリスクは大きい。管理不全で倒壊の危険性などがある「特定空き家」に対しては解体や撤去といった行政代執行・略式代執行が可能。この件数は2025年3月末までに878件となっている。また「特定空き家」や「管理不全空き家」となった場合、固定資産税の軽減措置が解除されて税負担の増加も所有者にとっては痛手だ。その一方で、高額な解体費や権利関係などから解体や売却・活用をしたくてもできないケースも散見される。
なぜ成功事例を発信するか プロセスを業界のアーカイブに
Agent Connectのなかでも空き家などの流通・活用で成功事例を持つエージェントは決して多くない。そのなかから少ない成功事例を発信する理由について、同社は「少ない成功事例の思考プロセスをアーカイブとすることで、『業界全体の知見』に変えていきたい」とする。
一例として挙げるのが、リーフクリエーション(神戸市中央区)が手掛けた2つの物件。ひとつは5階まで階段という神戸・ひよどり台団地のリノベーションプロジェクトで、もとは10年以上空き家になっていた物件だという。その階段の多さや立地から敬遠される物件となっていたが、一方で部屋からは淡路島や明石海峡大橋まで一望することができた。「登山好きやトレラン愛好家なら、この階段は毎日タダでできるトレーニングになるのでは」と考え、リノベーションも設備交換にとどまらず、「山と共に暮らすワクワク」を詰め込んだ工事を実施した。
もうひとつの事例が昭和初期に建てられた「河南工藝社ビル」。かつては建替えも計画されていた物件だが、阪神淡路大震災による状況の変化や、オーナーとの対話から「残す」ことを計画。現在では人気レディースアパレルブランドの旗艦店となっている。
Agent Connectではこうした成功事例をエージェント同士で共有していくことで、空き家という社会課題解決できる人材の創出にもつなげていきたい考えだ。



