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都心は空室ほぼなくオフィス移転の選択肢は限定的 26年第1半期のマーケットレポート(東京・大阪)発表
2026.05.18 12:19
コリアーズ・インターナショナル・ジャパン(東京都千代田区)は12日、2026年第1四半期のグレードAオフィスのマーケットレポート(東京版)を発表した。同じく大阪版を14日に発表している。
このレポートは対象エリア内に立地する賃貸オフィスビルから同社独自の基準で選定した物件のデータをもとに作成したもので、東京版では主要5区の基準階面積がおおむね300坪以上の物件が対象範囲となっている。2026年第1四半期の空室率は1・4%で、前期比で0・1ポイントの上昇。わずかではあるが空室率が2年6カ月ぶりに上昇に転じた。これについてシニアディレクターの川井康平氏は次のように述べる。
「マーケットの潮目が変わって空室率が下げ止まったわけではなく、都心の目ぼしい物件はいずれも空室がほとんどなく、移転の候補先となる選択肢が非常に限られている状況で、企業側も動きづらい環境であることが影響していると考えています」
一方で賃料の平均値は坪あたり3万8400円となっており、前期比で5・8%の上昇となった。移転需要が堅調で貸し手優位な状況であるのに加えて、大手のオーナーを中心に年度が切り替わるタイミングで賃貸条件の改定を実施したことなどが要因とされる。またフリーレント期間の短縮が進んでおり、川井氏は「2~3カ月程度の設定も珍しくなくなっている」とし、これを加味した実効賃料の上昇幅はさらに大きくなっているとのことだ。東京都心では需要と供給が拮抗した状況がしばらく続く見通しで、空室率も低い水準で安定維持するものと予測される。ただ、現下における石油をめぐっての世界的な情勢不安などから、内装工事費の上昇や工事の長期化が、企業にとってのオフィス移転に伴うリスク要因となる可能性が高い。工事期間の見通しが立てにくい中、貸室内の内装を付帯した状態で賃貸するセットアップオフィスが移転の合理的な選択肢として存在感を増していくとみられる。
大阪版は、市内中心部に立地する基準階面積がおおむね100坪以上の賃貸オフィスビルから同社独自の基準で物件を選定し、データを集計したもの。空室率は2・6%と東京都心に比べやや高いものの、新築・築浅の物件の空室の消化は着実に進み、全体的には低下傾向が続く。また立地条件の良い有望な物件を中心に空き区画はほとんどなく、東京と同様に移転先が限定的となっている。東京と同じく優秀な人材の獲得競争の激化による旺盛な移転需要があり、企業は先々の負担増を見越して限られた選択肢の中でスピード感のある意思決定が求められている。大阪では東京ほどセットアップオフィスが市場の中で浸透していないが、テナント側の視点では額面上で割高感があるものの、結果的に工期と費用の不確実性を抑えた実績が蓄積されれば市場におけるセットアップオフィスの優位性が高まる可能性もある。



