不動産トピックス

【4/20号・今週の最終面特集】田町・三田エリアに新たなシンボルタワーが誕生 次世代型の複合ビル「ミタマチテラス」

2026.04.20 10:33

充実した共用スペースが強み テナントニーズを満たすスマートビル機能採用
昨年8月竣工の大型建替えPJ「ミタマチテラス」
 中央日本土地建物(東京都千代田区)と独立行政法人都市再生機構(横浜市中区、以下UR都市機構)は、都営地下鉄浅草線・三田線「三田」駅直結、JR「田町」駅から徒歩2分の第一京浜沿いで大型建替えプロジェクト「ミタマチテラス」を進めてきた。昨年8月29日に竣工を迎え、現在は全区画が内定。テナントの入居が続々と進んでいる。

旧「春日ビル」の建替えPJ 環境配慮のスマートビル整備
 「ミタマチテラス」は、中央日本土地建物とUR都市機構がそれぞれ区分所有していた旧「春日ビル」の建替えプロジェクト。旧「春日ビル」は、1949年に元皇族の閑院宮春仁氏が同地にあった大蔵省の土地・建物を借り受けて、「春日倉庫」を起業したことに由来する。1962年には土地の払い下げと同時に、当時の日本住宅公団(後のUR都市機構)と共同でビル建設を開始。1966年の竣工後、後の中央日本土地建物が一部を取得し、UR都市機構と半世紀を超えるパートナーとして共に運営・管理してきた。
 建替えのきっかけは、築年数の経過に伴い耐震性に課題を抱えていたこと。両者で話し合い、建替えを検討開始。総合設計を活用して開発を進めることとなった。解体工事は21年12月から開始。23年10月に新築工事着工。都市の国際競争力強化に向けて発展を続ける、田町・三田エリアにふさわしい快適な執務空間と環境に配慮したスマートビルを整備した。
 「ミタマチテラス」は、地上20階地下3階建て。延床面積は約5万5500㎡。地下2階が都営地下鉄の連絡通路とつながり、1~2階はエントランス空間と店舗(飲食店、物販店舗)、児童福祉施設などを整備。3~4階はカンファレンスとオープンイノベーションオフィス。5~19階までが賃貸オフィスとなっている。1フロアの貸室面積は1929・80㎡(約580坪)。整形無柱のオフィスと最新鋭のスペックおよび環境性能を備え、充実したセキュリティシステムや設備も用意。内階段を設けることができるほか、給排水の引き込み、宅配ボックスの設置も可能。入居テナントの利便性を考慮して設計した。
 中央日本土地建物 都市開発事業第二部 能海達宏氏は「最寄り駅や他エリアへのアクセスの良さといった利便性だけでなく、当社としてはオフィス環境や防災性能およびBCP対応も意識して構築しました。整形無柱のオフィスはテナント様にとって自由にレイアウトしやすく、社員のエンゲージメントを重視し、執務空間をつくり込む昨今の企業にとっては好ましい環境だと考えています。また制振構造の採用などによる高い防災性能と、72時間のBCP性能を備えることにより、テナント様へ安全と安心を提供しています」と語った。

3~4階は共用スペース 17室のカンファレンス
 「ミタマチテラス」の特徴のひとつに、充実した共用スペースが挙げられる。3~4階に大小さまざまな17室のカンファレンスと、全17室のソロブースを用意。カンファレンスは12名程度の打ち合わせに適した部屋から、90名近くまで利用できるセミナー向けの会場まである。3階のカンファレンスは外部の企業も利用可能。かたや4階は入居者専用。共用かつ有人対応のワーカーラウンジを中心に、少人数用のミーティングルームやソロブースも利用できる。寛ぎながら、皆で話しながらのグループワークから、ソロワークでの集中した個人作業まで、シーンに応じた使い分けができることが魅力だ。予約サイトから空き時間を確認でき、30分単位での予約が可能。利用した時間だけ料金が発生する従量課金制と、分かりやすい料金体系になっている。
 オーナー側としては、共用の会議室やソロブース、入居者専用のワーカーラウンジを設けることで、入居テナントが専有部をより自由に使用できることを意識した。同サイズのオフィスビルでも、これだけの会議室やソロブースを用意したケースは少ない。同社としてもこれら設備・環境の充実が、早期入居につながったと見ている。

各種設備を統合ネットワーク化 リアルタイムに連動できる
 同階には中央日本土地建物が運営するオープンイノベーションオフィス「SENQ 田町」を開設。「ミタマチテラス」の入居テナントは共用のワーカーラウンジを使用しつつ、プロジェクト用の分室や社内ベンチャーのオフィスを同じビル内に設けることも可能。SENQに入居するスタートアップ企業および近隣大学発ベンチャーと、交流・イノベーションを図ることができる。ワーカーラウンジが交流・イノベーション創出のハブとして機能することを企図した。
 今後は入居テナントとSENQの会員による協業、入居者同士・テナント同士のイノベーション創出へ積極的に寄与していく。
 高い環境性能も強み。南北面の窓をダブルスキンによる二重ガラス構造として空調負荷を抑えつつ、東西面はLow-E複層ガラスに西日などを遮る縦フィンや自然換気装置、ブラインドに太陽光の反射によって天井を照らすように自動調整機能を実装。消費エネルギーを効率的に削減する。またIoTセンサーを専有部天井内に実装することで、ワーカーの「在・不在」を自動で感知。一定時間経過すると自然と空調・照明の電源がオフになる。
 これらの取り組みによって、「ZEB Ready認証」、「CASBEE-スマートウェルネスオフィス評価認証」の最高位Sランク、「DBJ Green Building認証」5スターを取得。使用電力も100%再エネ電力。RE100に準拠した電力を使用している。
 前述の環境性能に関連するシステムとして「スマートビル仕様」も特徴的。館内の各種設備を統合ネットワーク化し、リアルタイムに連動させることで、正確な数値・データを収集・解析。それらの情報を基に快適なオフィス環境を整備しつつ、効率的に管理も行う。
 前述のIoTセンサーに加え、外気状況から快適な自然換気のタイミングを判断・通知するシステムのほか、カンファレンスの予約、インターフォンの応答および鍵の開錠、AIカメラによる車両認証、来客対応、顔認証などのシステムを実装。入居者は専用アプリ等から操作・把握でき、誰でも直感的に使えるデザインとなっている。さらにトイレ、喫煙室、ラウンジ等の混雑状況やテナント別の電力使用量、ごみの廃棄量なども可視化。利便性の向上と、環境配慮にもつながる双方の良さを持つ。
 能海氏は「建物の性能そのものだけでなく、運用まで含めて価値を高めていくことが重要だと考えています。今後も、アプリケーションのアップデートなどを行い、環境性能と快適性を両立したオフィスづくりを通じて、持続可能な都市の実現に貢献していきます」と語った。


「ミタマチテラス」物件概要
●竣工:2025年8月29日
●延床面積:約5万5500㎡
●敷地面積:約5140㎡
●基準階貸室面積:1929.80㎡
●規模:地上20階地下3階
●用途:事務所、飲食店、物販店舗、集会場、児童福祉施設等、自動車車庫、自転車駐車場
●所在地:東京都港区芝5-34-2

▲撮影:エスエス 小掠直浩氏




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