不動産トピックス
【3/23号・今週の最終面特集】新ビルめぐり BASEGATE 横浜関内 編

2026.03.23 10:53
関内エリアのオフィス需要を開拓へ 敷地内にはエンタメ・ホテルも整備
このほど、「関内」駅前の再開発街区「BASEGATE横浜関内」が開業を迎えた。オフィスや商業、ホテルなどの各機能を揃える。ビジネス・観光のいずれでも利便性が高いことから、ミクストユースの街区としてエリアの賑わいを創っていく。
オフィスやホテル・商業の大規模ミクストユース型に
3月19日に開業した「BASEGATE横浜関内」は、延床面積12万8500㎡、敷地面積1万6500㎡の大規模街区で、オフィス、商業、ホテルなどで構成されている。事業者は三井不動産(東京都中央区)を代表企業に、鹿島建設(東京都港区)、京浜急行電鉄(横浜市西区)、第一生命保険(東京都千代田区)、竹中工務店(大阪市中央区)、ディー・エヌ・エー(DeNA、東京都渋谷区)、東急(東京都渋谷区)、星野リゾート(長野県軽井沢町)の8社。
「関内」駅前に立地しており、「旧横浜市庁舎」跡地を再開発したもの。「大規模ミクストユース型プロジェクト」と銘打つ通り、街区にはオフィス・大学や新産業創造拠点が入る「タワー」棟、ホテル・商業などの「ザ レガシー」、ライブビューイング施設を中心とする「ザ ライブ」などの複数の施設から構成されている。
街づくりのコンセプトには「MINATO‐MACHI LIVE(みなとまちライブ)」を掲げており、「新旧融合」を特色に「旧横浜市庁舎行政棟」を保存・活用した「ザ レガシー」など、横浜の文化を継承する。行政棟は村野藤吾によって設計されており、2025年には戦後建造物として初めて横浜市認定歴史建造物に認定されている。
「タワー」12~33階のオフィスフロアは関内最大級のフロアプレートを有し、1フロア2000㎡超、天井高2・8m、奥行最大18mの整形無柱空間となっている。周辺の建物よりも高い場所に位置していることから開けた眺望が確保されている。オフィスフロアへの玄関口となる11階の「スカイロビー」には入居テナントのワーカー同士の交流を促進する「イノベーションラウンジ」を設置する。加えて、26年5月にはスカイロビー内に「co―ba横浜関内」がオープン予定で、多様な働き方のニーズにも応えていく。オフィス部分については「CASBEEスマートウェルネスオフィスSランク」、「ZEB Oriented」を取得している。
タワー棟ではこうしたオフィス以外に産学共創の新産業拠点も設ける。三井不動産とライフサイエンス・イノベーション・ネットワーク・ジャパン(東京都中央区)、STELLAR SCIENCE FOUNDATION(東京都中央区)の3社が連携し、最先端のウェットラボ(創薬や再生医療などの研究者が液体や気体などを使って実験できる場所)やオフィス、交流ラウンジ、イベントスペースなどを備えた施設を運営する。昨今は都心部でオフィスと併設した研究開発拠点を設ける動きがあり、「BASEGATE横浜関内」でもアクセス性や大規模ミクストユースプロジェクトという特性を生かして、認知度向上などを図っていく。
リーシングは堅調に 商業では「野球」も生かす
2月にメディア向けに開催された先行内覧会にて、第一生命保険の不動産部不動産企画課兼不動産開発課の増山拳マネージャーは「リーシングは堅調に進んでいる」とした。内定率は非公開ながらも、横浜ゆかりの企業やIT関係の企業から引き合いが来ているもようだ。
「関内」は商業が強くオフィスエリアとしての存在感は薄いものの、みなとみらいに近接し、横浜や東京都心へのアクセスもしやすいなど、強いポテンシャルを有している。エリア内では最大級のオフィスとなることから「エリアのマーケットメーカー」として存在感を発揮していく。周辺街区でも再開発事業が進み、一大オフィスエリアに育つ機運が高まっている。事業者の枠を超えてエリア全体での「共創」も目指していく。
エリア内の「ザ ライブ」には、日本最大級となる常設型ライブビューイング施設「THE LIVE Supported by 大和地所」を設ける。1階には幅約18m、高さ約9mの大型LEDビジョンを備えるとともに、9の飲食店舗が出店する。2階には「BAYSTORE Flagship YOKOHAMA」として横浜のプロスポーツチームの様々なグッズを取り扱うショップ、3階には「FOOD TERRACE」としてテラス付きのレストランがある。大型LEDビジョンではプロ野球球団・横浜DeNAベイスターズの主催試合・ビジターゲームも放映するほか、バスケットボールやサッカーなどの試合、音楽ライブなどのコンテンツも放映する。ビジョンを直接鑑賞できる座席を246席用意する。
行政棟を活用した「ザ レガシー」では星野リゾートが運営する「OMO7横浜 by 星野リゾート」を展開する。客室は2名定員から6名定員までの幅広いラインアップを用意する。
3月12日の記者発表会ではトークセッションが開催された。三井不動産・植田俊社長、DeNA・南場智子会長、星野リゾート・星野佳路社長、STELLAR SCIENCE FOUNDATION(SS―F)の武部貴則代表理事が登壇。
「THE LIVE Supported by 大和地所」や没入型体験施設「ワンダリア横浜 Supported by Umios」についてDeNAの南場会長は「横浜スタジアムには昨年236万人が来場した」が「試合がない日も年に290日ある」としたうえで、「ここに来ることが目的になるような場所にしていきたい」と意欲を見せた。また星野リゾートの星野社長は「日本を代表する建築家でモダニズムの巨匠とも言われる村野藤吾の建築を残すことができたこと、それをホテルにコンバージョンできたのはやりがいのあるプロジェクトだと感じている」と意欲を示し、「横浜は年3700万人来訪するが日帰りの比率が大きい。多くの人たちが泊まってもらえるようにしていきたい」とした。SS―Fの武部代表理事は「世界的にもレベルの高い研究施設ができる。ぜひ皆さんと一緒に面白い活動をしていきたい」と呼びかけた。
各氏の発言を受けて三井不動産の植田社長は特色である「新旧融合」に触れながら、オフィスやライブビューイング施設、商業、ホテルなど多様な施設が揃ったことで「これからの関内エリアの起爆剤になっていくものと期待している」とした。他の駅前再開発に先駆けて開業を迎えた「BASEGATE横浜関内」がオフィスをはじめとする需要の開拓に先鞭をつけることができるかが、注目される。



