不動産トピックス

【2/9号・今週の最終面特集】不動産事業者注目のプロ向けサービス

2026.02.09 10:58

利用企業増のプロ向けプラットフォーム
設立間もないスタートアップや小規模な不動産会社から重宝
 オフィスの最新情報を扱うプラットフォームはいくつかあるが、プロの営業スタッフやユーザーから好まれるサービスは少なく、質を維持するのに苦労している様子も聞く。質の高い情報を継続して、提供できるサービスは限られている。

昨年末時点で7万棟33万室の情報を扱う
 「区分所有オフィスR」を主軸に資産形成コンサルティングを行っているボルテックス(東京都千代田区)は、2024年7月1日からオフィス情報のプラットフォーム「OFFICE RESEARCHR(以下オフィスリサーチ)」を運営・提供している。昨年7月には対象エリアを拡大。25年末時点で7万棟、33万室の情報を扱う規模まで成長した。
 オフィスリサーチは、オフィスビル専門の賃貸仲介会社や管理会社、その他不動産事業者を対象に設計された、プロ向けのプラットフォーム。膨大な物件情報とマーケット情報を蓄積しており、これらデータを迅速かつ正確に反映した「賃貸オフィス検索システム」が強み。同データを活用することで、管理会社は管理物件の現状把握や中長期修繕計画の参考に、賃貸仲介会社や不動産事業者の場合は、クライアントへの提案力向上につなげることができる。
 サービスは2019年10月、別会社からの事業譲渡で開始。勝どきで20年ほど仲介経験のある同事業をボルテックスが引き継ぎ、直に集めた「生」の情報を反映する形で始めた。昨今AIを活用した情報プラットフォームは複数あるが、推量や大まかな平均値を導き出しての「ならし」が多い。成約賃料等で坪1000~2000円ほどの誤差が生じることもある。この差は大きく、選ばれる企業となるためには、より信憑性と正確性の高いデータが求められる。
 対してオフィスリサーチは毎月300社以上の不動産会社から空室および更新情報、かつ自社の営業スタッフからも独自の情報を収集し素早く反映・更新している。営業スタッフが直接扱う情報だからこそ信憑性は高く、営業先へより具体的な提案につながる。
 マーケットのトレンド調査なども簡単に把握できる。任意の条件でトレンドを検索でき、保有・管理物件の周辺にフォーカスした調査、坪数・築年数での絞り込み検索も可能。エリア内の募集面積や賃料推移もグラフで分かりやすく記載し、読み手は視覚的に把握できる。賃料設定やリーシング計画、賃料増額の交渉などにも活用可能だ。

複数のテンプレート用意 提案資料1分ほどで作成
 利用者から好評なシステムが、提案資料作成とカスタマイズ機能。複数のテンプレートを用意しており、対象物件を主軸に据えた提案資料を1分ほどで作成できる。事業統括本部マーケティング本部 情報企画課 課長代理の佐藤ゆうか氏は「1棟だけを取り上げた資料作成から、周辺情報や近隣の競合ビルのデータまで記載した比較表も簡単に作成できます。作成した資料のカスタマイズも可能で、より提案力の高い資料や見やすさを追求した資料を作成できます。短時間でできる資料作成が営業スタッフに好評で、『賃貸オフィス検索システム』とともに高く評価されている要因だと思います」と話した。
 その他にも新着物件のアラート機能や分かりやすい顧客管理画面も特徴。アラート機能を活用すれば、クライアントへ迅速に物件提案が可能。かつ顧客ごとに提案した物件の紐づけやステータス変更、タスク設定などの管理もできる。
 事業統括本部マーケティング本部賃貸ビジネス部の藤重昌史部長は「これまでエリアごとに定期的にマーケット情報を収集・まとめることは難しく、外部のセミナー等に参加するなどして、そこで入手した資料等を活用することが一般的でした。大手不動産会社のビルともなれば募集賃料は非公開なケースが多く、なおさら正確な数値の算出は難しいです。一方金融機関やコンサルなどはより正確な数値を求めており、提案する不動産会社も明瞭なエビデンスが必須となってきました。この双方の課題に対して広い守備範囲で対応できることがオフィスリサーチの強み。設立間もないスタートアップや小規模な不動産会社から重宝されています」と語った。
 利用プランは簡易的なライトと、充実したスタンダードの2つ。利用開始時に初期費用10万円がかかるだけで、後は月額利用。利用する人数によっても料金が変化してくる。今後同社ではエリアの拡大を検討しつつも、クオリティの持続も見据えて計画的に拡大を進めていく。

管理会社とテナント間 円滑にするアプリ
 いい生活(東京都港区)は2月4日、管理会社とテナントの間におけるコミュニケーションを円滑にするアプリ「いい生活Tenant」をリリースした。
 2000年1月設立のいい生活は不動産業務クラウドサービス、不動産プラットフォームサービスを提供する不動産テック企業。不動産市場の法改正やIT化に迅速柔軟に対応し、不動産業務を網羅するフルラインナップのSaaSで不動産市場のDXを推進している。一方テナント管理の現場では、管理会社とテナント間のコミュニケーションに電話やFAX、紙の掲示物といったアナログな手法がいまだに多い。居住用不動産に比べDX化が遅れており、問い合わせ対応の属人化や情報伝達の遅延も常態化。煩雑な事務作業に追われることで、本来提供すべき付加価値サービスやアップセル・クロスセルといった収益機会の創出を妨げる要因となっている。
 テナントにおいても、設備トラブルの連絡や各種申請手続き(入館申請・作業届等)を管理会社の営業時間に合わせる必要があり、手続きの煩わしさや重要情報の見落としリスクが課題となっていた。これら背景からいい生活は、オフィステナントの管理におけるコミュニケーションをデジタルで一元化。双方の生産性向上と新たな収益機会の最大化を支援するため「いい生活Tenant」を開始した。
 特徴の1つ目は業務効率化とペーパーレス。管理会社は問い合わせの一元管理や申請業務のデジタル化で、事務工数を大幅に削減できる。テナントも時間や場所を問わずスマートフォンから、各種申請や連絡が可能。電話やメールに費やしていた手間を最小化できる。
 2つ目はコミュニケーションの質と満足度の向上。プッシュ通知の活用により、重要情報の確実かつ迅速な伝達を実現。管理会社は対応漏れや遅延を防止でき、テナントはアプリ上で進捗ステータスをリアルタイムに確認できる。このシステムにより双方の信頼関係と利便性が向上する。
 3つ目は戦略的な収益機会の最大化。アプリを通じたターゲット配信により、貸会議室や清掃、関連セミナーといったサービスの案内を最適化できる。管理会社にとっては効率的なアップセル・クロスセルの場となり、テナントにとっても自社に有益な提携サービスや優待情報をタイムリーに得られる機会を拡大できる。
 いい生活は今後も段階的に機能を追加し、オフィステナントの管理に関わる全てのステークホルダーがより効率的に業務を行えるプラットフォームへと進化させていく。また今後は同サービスをさらに事業用不動産管理業務を根本から変革するプラットフォームへ成長させ、自社のサービス連携基盤である「いい生活Square」とも強力なシナジーを発揮。不動産業界全体のDXをより一層強力に推進していく。




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