不動産トピックス
【2/2号・今週の最終面特集】建物修繕・維持管理・土地活用 不動産経営のバックアップ企業

2026.02.02 14:07
業務効率化でコスト削減や人手不足問題にも対応 運営管理の現場で進むDX化
建物の多様化や高度化、そしてニーズの変化に伴って、不動産の経営や維持管理のあり方を見直す動きが加速している。その最たる例がDX化である。不動産の経営・管理を効率化し、収益向上に導く企業の最新ソリューションを紹介していきたい。
外壁の診断調査 ドローン活用で以上を検知
建物の安全性を維持するために必要な定期点検や診断調査。外壁部分では打診による調査が一般的であるが、ドローン・フロンティア(東京都荒川区)ではドローンを用いた赤外線外壁調査を得意とする。
2022年4月1日から施行された改正建築基準法では、建築物の定期調査報告における調査方法の1つとして、ドローンによる赤外線調査が明記された。ドローンによる赤外線調査が法的に認められるようになったことで、外壁診断におけるドローンの活用は今度ますます加速していくものとみられる。年間100棟以上の診断実績を持つドローン・フロンティアでは、高性能ドローンを用いた赤外線調査で外壁の異常を検知しタイルのはく落などの事故を未然に防ぐ。
外壁の赤外線調査は、タイルやモルタルの浮きを表面の温度変化から検知するという調査方法で、打診調査の場合では足場やゴンドラを使用して調査していたところ、赤外線調査ではそれらの準備が不要であることからコスト削減に寄与できるメリットがある。同社ではドローンを用いた赤外線調査だけでなく、ロープアクセスでの打診調査も行っている。代表取締役社長CEOの府川雅彦氏は「荒天時や鉄道の線路付近など、ロケーションによってはドローンが適さない場合もあります。当社では、外壁診断においてドローンはあくまで調査方法の1つの手段として提案しており、調査対象によって最適な手段を用いた提案に努めています」と話す。建築基準法12条に定められた定期報告制度、いわゆる「12条点検」にも対応しており、一級建築士と提携しながら適正な調査を実施する。
このほか、ドローン・フロンティアでは主にリフォーム会社向けのドローンによる外壁調査や屋根調査の導入支援も行っている。同社がこれまで蓄積してきたノウハウをもとに、ドローンの操縦や診断の講習を行っているとのことで、府川氏は「ドローンは調査・点検以外にも農業や物資輸送など様々な場面で需要が拡大しており、市場規模は国内ですでに4000億円を超えると言われています。リフォーム事業者にとっては低コスト・短時間での調査実施をクライアントに提案できるなどメリットが多く、当社としてもドローンの導入支援を拡大していきたいと考えています」と述べている。
BIMデータをもとに最適な維持管理を支援
建物の設計・建築の領域において活用が進んでいるBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)は、建物を3次元のデジタルモデルで表現し、そのモデルにさまざまな建築・設備の属性情報を一元的に管理可能な設計技術である。建物を単なる図面としてではなく「情報を持つデータ」、「完成イメージに近い建物の3Dモデル」として設計、施工、建物完成後の管理に生かすことで、業務プロセスの効率化に大きく貢献する。単に建物の3Dモデルを作成するだけでなく、建物に関する情報を紐づけ、統合管理できる点がBIMの大きな特徴といえる。
BIM設計や管理コンサルティング、BIMを活用した建物維持管理用プラットフォームなどのサービスを提供するBIM Base(東京都千代田区)は、創業者が2001年に中国・上海で起業し、日本国内では2016年に「株式会社賽揚建築ジャパン」として設立(2023年12月に「株式会社BIM Base」に商号変更)した。同社の建物維持管理用プラットフォーム「SY-iFMプラットフォーム」は、複数の建物を統一的に運営・維持管理が可能な群管理機能を搭載し、遠隔から建物の状態を効率的に把握できる。また台帳・文書管理機能を有しており、建物の運営や維持管理に関するデータを一元管理し、業務効率の向上に貢献する。
取締役社長の刑部健氏は「生産年齢人口の減少に伴って日本全体で労働力不足が社会問題となる中、特に建物管理業界では従事者の高齢化や担い手不足が顕著となっています。加えて人件費は高騰を続けており、維持管理に係る業務フローの抜本的な見直しが求められています。BIMの活用は、これまで現場に行かなければできなかった業務や煩雑な図面・文書管理などを効率化し、特定の拠点での集約管理、業務の高度化・省人化を実現しながら社会課題の解決にも貢献できるものと考えています」と述べる。
BIM Baseではこのほかにも、管理業務の効率化やデジタル化を支援するコンサルティングサービスも提供している。業務の属人化を解消し、最適な人員配置を提案するなど、建物管理における現状把握と課題の抽出をもとに、管理体制の見直しを提案。管理品質の向上と平準化を実現するとともに、建物の資産価値や収益性の向上にも寄与する。BIM設計・システム開発・管理コンサルティングの3領域を融合させ、同社では持続可能な社会に合致した先進的かつスマートな建物管理を支援する。
土地・建物の有効活用をコンサルティング
アテナ・パートナーズ(東京都新宿区)では、不動産活用のコンサルティングをプロジェクトの企画立案から完了まで関係者調整や事業スケジュールも含め、プロジェクト全体を見据えた一貫支援サポートを提供。特に、事業の継続性や安定収益が求められる高齢者施設や介護福祉施設への土地活用の実績を豊富に有しており、建物の企画計画からテナント誘致、施設の開業支援までトータルで支援を行っている。
代表取締役の佐嘉田英樹氏はメガバンクの出身で、在職時は主に中小企業の経営支援に携わってきた経歴を持つ。その後、家業である不動産業に参画し、不動産仲介やリフォーム事業に携わり、不動産会社で土地活用や買取再販などの事業に関わった経験を経て、2023年に独立。アテナ・パートナーズを設立した。佐嘉田氏は「当社では地主様や中小事業者様がお持ちの土地・建物の活用を、不動産の立地等のさまざまな条件や現在の利用状況、市場のトレンドなどから中長期的な事業性や将来の資産承継も見据えた活用方法を提案いたします。特に当社が得意とする高齢者施設・介護福祉施設への活用のほか、店舗や賃貸マンション、飲食店などのコンサルティングやマネジメントにおける土地活用の提案も行っています」と話す。
東京・神田で同社がコンサルティングを手掛けた事例では、地元の老舗卸業者が保有する自社ビルの建替えを行うとともに、分散していた土地の整理を提案した。建替えは近隣に保有していた土地に将来的に収益化も可能なテナントビルを建設し、本社機能を一時移転させたうえで本社ビルの建替え工事に着手。本社ビルの完成後は本社機能を再度移転させることで、事業を止めることなく建替えを実現したプロジェクト。また近隣に保有していた土地の一部を売却して事業費を捻出し、さらに地形を整形にして土地をより有効活用できるよう隣接地の買収提案も行った。佐嘉田氏は「土地・建物の有効活用は、それぞれ異なる不動産の特性やニーズを考慮した提案に努めるとともに、不動産オーナーやクライアント企業の意向に沿った提案にも努めております」と話す。
同社では今後、ビル・マンションの既存物件の改修や建替え、資産の組み換え提案を通じた不動産の有効活用も積極的にコンサルティング提案していく考えだ。



