不動産トピックス
【1/26号・今週の最終面特集】住宅リフォーム・リノベーション ニーズ捉える新アイディア
2026.01.26 10:32
安全で快適な住環境の構築に貢献 低コスト・短工期で施主側の負担軽減
設計段階における業務のDX化進む
7兆円規模とされる住宅のリフォーム市場。一方でかねてより懸念されているのが人口減少による空き家の増加である。今後は空き家を利活用して中古住宅の市場へ安定的に供給するための制度づくりが求められる。リフォームやリノベーションを手掛ける事業者による、住宅の資産価値向上に資する取り組みを紹介していく。
サビに強いガルバリウム鋼板 屋根のリフォーム専用工法
内装ドアやサッシ枠といった建具や建築部材の製造・販売を行っているオークマ(福岡県朝倉市)では、2016年より平板スレート屋根のリフォーム専用工法「C/guard(シーガード)」の提案を行っている。
アパートなどの屋根材で広く使用される平板スレートは、耐候性を維持するために定期的な塗装によってメンテナンスするのが一般的で、その耐用年数は5年から10年程度とされる。またスレートが割れている箇所が目立つ場合などはリフォームが必要となるが、既存のスレートを撤去せずにその上から新しい屋根材を重ねて施工するカバー工法が採用されることが多い。カバー工法はコスト圧縮や工期短縮といった面でメリットがあるとされる一方で、屋根そのものの重量の増加や既存スレートがアスベスト含有の場合は施工において対策が必要になるなどのデメリットもあった。
「C/guard」は、サビに強い素材であるガルバリウムを基材とする鋼板を自社工場で製造。既存の平板スレート屋根に専用接着剤を塗布して張り付けるというものだ。従来のカバー工法は既存のスレートに穴をあけビスで新しい屋根材を固定するが、「C/guard」は既存のスレートを傷つけることなく施工が可能となっている。そのため従来のカバー工法と比べ低コスト・短工期で施工できるのが特徴。既存のスレートに差し込むような形状となっているため防水層の敷設は不要で、1m2あたりの重量は約4・6kgと非常に軽量である点も大きな特徴といえる。
オークマの代表取締役社長・大隈賢一郎氏は「平板スレートの上に太陽光パネルが設置されている場合、従来のカバー工法では太陽光パネルや架台を一度取り外し、屋根のリフォームを実施した上で再度パネルの設置を行う必要があり、結果的に大きなコスト負担となっていました。『C/guard』は太陽光パネルの脱着をせずに施工することが可能で、コスト削減につなげることができます」と話す。
同社によれば、「C/guard」は2016年の販売開始から全国で累計約1万5000棟に施工を行った実績を持ち、現在も月間100~150棟程度の施工を実施しているとのこと。20年以上の長期にわたって耐久性と美観を保持する「C/guard」のリフォーム提案を積極的に展開する。
工務店向けVC事業 AIが建築パース生成
LIXIL住宅研究所(東京都品川区)は、LIXIL(東京都品川区)と連携しリノベーション事業に特化した新たな工務店向けリノベーションボランタリーチェーン(VC)事業「DUUO PROJECT(デューオ プロジェクト)」を立ち上げた。
近年、20代の持ち家率が過去最高を更新し、5人に1人が中古住宅を希望するなど既存住宅活用への関心が高まっている。しかし、リノベーション検討者の多くが「完成後のイメージが想像できない」、「性能や費用対効果が分かりにくい」といった不安を抱えており、中古住宅購入の大きな障壁となっていた。一方、工務店側においてもデザイン提案の難易度や専任者の不在が課題となり、顧客ニーズに十分に応えきれない現状があった。こうした課題の解決のため、LIXIL住宅研究所では「理想の住まいを賢く叶える」をコンセプトとした新ブランドを創設。同事業はLIXILグループの総合力と先進技術を融合させ、顧客と工務店をつなぐ新たなプラットフォームを提供する。
最大の特徴は、商談の場で瞬時にリノベーション後の空間を可視化する「建築パース特化型AI」の導入である。この画像生成サービスは、スマートフォンなどで撮影した居住中の室内写真などからAIが自動で既存の家具などを消去し、顧客の好みに合わせたデザインスタイルを採用した高品質なパースを短時間で生成。画像内にはLIXILの建材や設備が指定された状態で反映されるため、単なるイメージ確認にとどまらず、具体的な製品選定や仕様決めへのスムーズな移行が可能になる。これにより、従来のリノベーションで最大のネックとなっていた完成イメージの共有を大きく改善する。
商品・設計面では同社の全ブランドを統括するグローバルデザインチームによるトータルコーディネートデザインを採用し、デザイン性の高さを担保している。また、構造躯体への負担とコストを抑えるため、階段位置や2階の間取り変更を行わない最小限の設計提案を行うとともに、既築の現況によってZEH基準の断熱性能をクリアする「まるごと断熱リフォーム」を標準で採用することで、新築と同等の快適性を提供する。
「DUUO」の加入条件は、建設業許可の取得(もしくは取得予定)、LIXIL流通店との取引実績があることなどとなっている。
築古戸建投資家の約半数が配管や水回りの故障を経験
マッチングサイト運営のポルティが調査
不動産売買のマッチングサービス「ポルティ空き家バンク」を運営するポルティ(川崎市多摩区)は、不動産投資家300名を対象に取得価格800万円未満の築古戸建への投資実態に関する調査を実施した。
調査結果によれば、現役の築古戸建投資家の50・6%が「配管・水回りの故障」を経験しており、雨漏り(39・0%)やシロアリ被害(41・6%)も高い水準であった。購入時に耐震性や雨漏りなどの瑕疵に対しての不安を「常に強く感じる」と回答したのは40・3%、「物件によって不安を感じることがある」が50・6%で、合計で約90%が不安を抱えながら投資を行っていることが分かった。
改修費は「物件価格の半分程度」が42・9%で最多となっているが、「物件価格と同程度がそれ以上」という回答も26・0%あり、安く購入したものの最小コストに収まらないケースが一定数ある実態が確認された。それでも投資家の投資意欲は高く、今後も「積極的に規模を拡大したい」と回答したのが35・1%、「良い物件があれば続けたい」と回答したのが45・5%にのぼり、合わせて約80%が継続・拡大を志向する回答となった。築古戸建投資の魅力についての問いに対しては、「高い利回りを期待できる」が45・5%であったほか、「空き家活用という社会的な意義がある」という回答も39・0%となっており、ポルティでは収益性と社会的納得感が並走している点が継続意向の強さと整合すると分析している。



