週刊ビル経営・今週の注目記事

毎週月曜日更新

「NTT日比谷タワー」着工 オフィスやホール・ホテルなどで構成する「内幸町一丁目街区」の中心施設

2025.12.15 10:49

 NTT都市開発(東京都千代田区)および東京電力パワーグリッド(東京都千代田区)は今月1日、千代田区内幸町1丁目において「NTT日比谷タワー」の新築工事を着工した。竣工は2031年10月末を予定している。
 「NTT日比谷タワー」は、日比谷公園に隣接した北・中・南の3地区からなる「内幸町一丁目街区」の中地区において、オフィス、産業支援施設、ホール、商業、宴会場、ホテルなどの多様な用途で構成する延床面積約36万㎡の大規模複合施設。計画地は大手町や丸の内、有楽町、銀座、霞が関、新橋といった東京都心の主要エリアの結節点に位置し、本計画では隣接する日比谷公園と道路上空公園を介して直結することで、公園と一体的な歩行者ネットワークを形成する。計画建物の規模は地上48階地下6階塔屋2階で、敷地面積は約2・2ha。都営「内幸町」駅に地下で直結するほか、「新橋」駅や「日比谷」駅など周辺の駅とも地下通路を介して直結する。
 主要用途となるオフィスフロアは11階から42階で、基準階のフロア面積は約1600坪と、国内最大級のメガプレートとなる。都心でありながら日比谷公園や皇居外苑といった豊富な緑を一望できるロケーションが特徴となっている。また地上7~10階では共創・オープンイノベーション拠点となる産業支援施設を整備し、世界中のさまざまな企業や人々がつながることでイノベーションを生み出し、新しいビジネスやサービスの実証が展開される予定である。このほか、文化発信拠点となるホール(9階)、帝国ホテルによる国際会議に対応可能な宴会場(6階)、帝国ホテルがオペレーターとなるスモールラグジュアリーホテル(44~48階)などが整備される。
 本計画では、NTT(東京都千代田区)が提唱する次世代の通信・情報処理基盤構想「IOWN(アイオン)」の実装が予定されており、次世代スマートシティの実現に向けた取り組みが展開される。「IOWN」は光技術を軸とした通信・コンピューティングインフラで、従来の電気信号を光に置き換えることによる大容量、低遅延、低消費電力が特徴となっている。これによって世界中の都市と都市をリアルタイムでつなぎ、ビジネスの場面では商談相手が目の前にいるような感覚でコミュニケーションをとることが可能となる。建物オフィス部分は「ZEB Ready」認証を取得するほか、「IOWN」による設備等の最適制御によって運用効率の最大化を実現し、クリーンエネルギー活用と組み合わせカーボンニュートラル達成を目指す。
 今月8日に行われた記者発表会には、NTT代表取締役社長の島田明氏、NTTアーバンソリューションズ(東京都千代田区)代表取締役社長の池田康氏が出席。その中で、「NTT日比谷タワー」が完成する2031年にNTT本社を移転させることが発表された。NTTの島田社長は「日比谷は日本電信電話公社(電電公社、現NTT)の本社が置かれた思い入れの深い場所。この場所から新しい価値の提供と圧倒的な低消費電力を実現する『「光の街」づくり powered by IOWN』の取り組みを推進し、日本のみならず世界に発信していきたいと考えています」と述べた。




週刊不動産経営編集部  YouTube