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プランテック CG/VRでの物件プロモーション評価高く 社内にCG世界ランカーが複数在籍

2025.12.15 10:41

 「建築設計を主軸にFacility Solutionで企業の経営課題を解決」。プランテック(東京都千代田区)が掲げるコンセプトだ。国内外に11の拠点を構え、プロジェクト実績は世界25カ国におよんでおり、日系の大手企業を中心にしてクライアントを抱える。
 「当社は単なる設計事務所としての機能にとどまらず、経営戦略のなかでの不動産という視点を持っていることが特徴のひとつです。そのため、当社では設計だけでなく事業企画や戦略といったコンサルティング、そして物件のプロモーションまでワンストップでのサポートを行っています」
 こう紹介するのは西谷文宏上席執行役員。なかでも同氏が責任者を務めるCG/VRなどによるプロモーションを手掛けるクリエイティブチームは高い評価を得ている。
 同社がこうしたクリエイティブ領域に力を入れ出したのは、コロナ禍がきっかけだった。「当時、外出控えが拡大するなかでマンションのモデルルームにいらっしゃる人も激減した。そのときにマンションデベロッパーからどのようにプロモーションをしていくかでご相談を受けました。VRでモデルルームを構築して、実際にモデルルームに訪れたように自由に視点を変えて内覧できるようにしたのです。これが非常に好評を得て、販売促進にも寄与しました。デベロッパーの満足度も高く、このあとの複数のプロジェクトでサポートさせていただきました」(西谷氏)。
 オフィスビルのリーシングプロモーションとしての実績も積み重ねる。オフィスビルの内覧はセットアップなどを除けばスケルトン空間になり、ビルの仕様や設備はわかるもののオフィス家具などを配置してどのような空間ができあがるかはイメージしにくい。
 オフィスの代表事例は羽田みらい開発の「HANEDA INNOVATION CITY」だ。この事例ではテナントリーシング向けのプロモーション動画制作、公式サイト内でのVR内覧の構築などを行っている。プロモーション動画は「HANEDA INNOVATION CITY」の公式チャンネルでも公開されていて、ビルのイメージやコンセプトが視覚的にわかる内容だ。この動画から公式サイトへ入ると、VR内覧ができる。VRもスケルトン状態から家具などを配置したデザインプランを見ることができ、入居してからの実際のオフィス空間をイメージしやすい。
 西谷氏は「当社の強みはCGやVRの専門会社ではなく、設計業務を主体としていることだ」と説明する。「当社にご依頼いただいた場合、どのようなイメージかを伝えていただければ、インテリアデザイン含めて総合的に製作することができる。これはCGやVRを専門としている会社にはない特徴となっている」。さらに言えば、設計業界にありながらもハイレベルなCGやVRを制作できることで、業界内での差別化にも成功していると言える。
 「当社には世界的にもレベルの高いCG/VRの制作スタッフが複数在籍している。あるマンションのプロモーションムービーもCGを活用しているが、よく見ないとそれがCGだとわからないほどだ。なかにはこうした開発力やこれまでの実績をご評価いただいて、当社が設計していない物件でもプロモーションだけ承ることもあります」(西谷氏)
 不動産業界ではリーシングでのCGやVRの活用はまだ普及しきっていないのが現状だ。一方で企業の関心として、生産性や社員のエンゲージメントにつながるようなワークスペースの構築が挙げられる。「このビルに入居したら、どういったワークスペースがつくれるのだろうか」。そういったイメージを視覚的にサポートすることが、リーシング力の向上にもつながることは確実だ。




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