不動産トピックス

快刀乱麻

1995.05.15 17:27

 年初来低迷の続く我が国の株式市場だが今年に入り一度だけ株価が持ち直しかけた時があった。
 例の復興関連銘柄が賑わいを見せた震災明けの相場である。震災直後に大きく値を下げた市場は数日後から一転反騰。そのリード役となったのが、不動建設、住友建設など関西に強いゼネコン株だった。自社の免震研究施設が神戸にあり、その効果を実証した松村組などは震災前の550円から1130円へと倍以上に値を上げている。
 しかしそれも束の間。現在ではこれらの株も軒並み以前の水準に戻ってしまっている。
 急激な円高など経済全体の悪要因もあろうが、この乱高下は、震災で一時的に危機管理意識を高めたものの、喉元過ぎればすぐまた忘れてしまう、ビルオーナーの浮気心を象徴しているというのは言い過ぎだろうか。
 日本人にありがちなパターンといってしまえばそれまでだが、ことは人命および財産の安全にかかわること。こればかりは他のワイドショー的ニュースのように、一時の流行りすたりで終わらせる訳にはいかない。




週刊不動産経営編集部  YouTube