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噂のスクランブル 「5年前の冷たい態度が噓のよう」 「不動産業」を理由に入居を断られたあの頃

1995.06.01 17:26

 先頃、東京・新宿で、ある不動産FCの本部が移転した。移転先はデパートが立ち並ぶ新宿通りに面した某大手銀行のビル。いわゆる一等地の一流ビルである。
 本部がこれまで入っていたのは歌舞伎町のビル。一帯は歓楽街で決してオフィスとして適した立地とは言い難く、女子社員などからは不評であったとも聞く。
 5年程前に二つのビルを仲介した業者の社長によれば「当時も表通りのビルに入居を申し込んだが、業種を聞いてオーナー側が軒並み断ってきた」
 市況がまだ完全な貸手市場だったこともあるが、一方で”不動産屋”に対する偏見が根強くあることを痛感したという。
 ところが市況が一変。件の銀行のビルでも、テナントの明治生命が新宿マインズタワーへ移転を決めるなど、新築ビルへの流出に危機感が高まった。おまけに銀行各行は、目下不良債権処理で青息吐息の状態。これを象徴するように、今回の移転劇は、ビルを形式上所有する銀行の不動産子会社から、「本部の社長に是非お会いしたい」と熱烈なアプローチがあったという。願わくばこれが不動産会社の地位向上の現われであればと思う。




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