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噂のスクランブル 安売り紳士服の衰退に脅えるオーナー 高額の賃料負担重荷に 退居続出も時間の問題
1995.06.15 16:03
経済情勢の変動が激しい昨今、急成長業種が瞬く間に斜陽産業となることも珍しくない。
今、貸しビル市場でその衰退ぶりが心配されているのが、安売り紳士服だ。元々郊外の街道沿いから始まった店舗展開は、3年前、東京銀座に青山商事が出店したのを皮切りに、都心部への出店ラッシュに。あちこちのビルの1階大フロアに「SALE」の札がはためく光景が出現した。
この出店ラッシュを支えていたのは、彼らの賃料負担力。件の銀座のビルは坪4万円、東京・八重洲のあるビルでは坪7万円で入居中のケースもある。いずれも現在の周辺相場からすれば、かなりの高額。当初はビルの体裁を考え、業種にも難色を示すオーナーも、結局はこの賃料に魅かれて入居を認めるといったケースが多かった。
ところがその後、公取委の指導が入った影響もあり、今や各社の収益体質は軒並み悪化しているとされる。
こうなれば当然、賃料負担の重い都心店のリストラが始まるのは自明のこと。もとより都心店のほとんどは昼夜問わずに閑古鳥に近い状況という。「退居は時間の問題」と見られる店はかなりあり、都心部の1階大フロアが連鎖的に空いていく可能性も充分ある。