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INAX 既存壁面の上にタイルが張れる新工法開発 工事簡素化により低コストを実現

1995.11.15 17:09

 INAX(本社愛知県常滑市・伊奈輝三社長)では、リノテックとの共同開発により、既存の外壁タイルやモルタルを撤去することなく、新たな仕上げ面を重ねる(タイルオンタイル)外壁改修工法を開発した。
 これまで、ビル外壁等を改修する方法としては、壁面がタイルの場合は、大きく分けて2通りの工法が採られていた。
 1つは、既存タイル面を全て撤去し、モルタルで新規にタイル等を施工する、全面はつりによる「湿式工法」。そしてもう一つは、既存面にパネル等を建て込んで施工する「乾式カバー工法」の2通りであった。しかし今回、開発された工法は既存の仕上げ面にベースネット(立体網目構造不織布)を張り付け、ノックスアンカーという特殊なアンカーピンを躯体まで打ち込むことで、既存の仕上げ壁面を撤去することもなくタイルが張れる、画期的なものだ。同社はこうした工法開発により、これまでの、外壁補修の際に言われる工期の長さや、工事費用の高さなどのデメリット面を、工事の簡素化によりカバーし工期の短縮、低コストでビルの外壁リフォームが実現出来るとしている。イナックスがこうした工法の開発をした背景には、外壁改修の際に外壁をまるごとカバーする、カーテンウォール工法等が安全面などから、最近の主流になりつつあることが挙げられるだろう。ビル外壁に使われるタイルは、優れた耐久性を維持出来る構造になっているが、長年の使用によりひび割れや、傷みなどは当然発生するもの。またモルタルの浮きや、剥離により、落下事故などにつながるケースもある。そこで同社では、今ある建物のイメージを生かしたまま、さらに安全面も配慮する改修工法として研究開発が進められていたものだ。




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