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三菱地所 新有楽町ビルをリニューアル 年間約200億円の改修コストを計上

1995.12.01 16:01

 都心中心部でも、空室が続くなど既存ビルの苦戦が続いている。当然の事だが、ビルの資産価値を落とさない為にも、又テナントへの配慮の点から、既存ビルにとって改修など、リニューアルは不可欠な手段だ。しかし実際行われているケースは少ないのが現状。そうした中、年間200億円程度の予算を計上し、リニューアル計画を進めているのが、三菱地所だ。最近の情報をレポートする。
 三菱地所(東京都千代田区、福澤武社長)では、年間200億円程度の予算を組んで、長期修繕計画を実施している。現在進行中のビルには、JR有楽町駅から直ぐの新有楽町ビルヂングなどがある。
 同ビルの施工は昭和42年の1月、44年6月に増設工事も行われているが、建ち上がってから、約30年近く経過しているビルだ。新有楽ビルで、行われている工事は、男性、女性それぞれの化粧室と、付随している給湯室などの水回り関係のリニューアル。
 昨年から始まった改修工事は、最上階の11階から開始。順次、下へ工事を進めていき、来年の8月には総ての化粧室の改修を終える予定。現在工事が終了しているのは、11階のフロア。スケルトンの状態にもどし、給配水管の移設なども行われたトイレ回りの改修には、約3ヶ月間の期間を要しており、費用は坪250万円程度。約28坪の化粧室は、全体で7000万円以上のコストをかけている。今回、三菱地所では、テナントからの改善要望の高かった女性化粧室に注力。各所に工夫が施されている。まずはパウダールームの設置。大手陶器メーカーのTOTOの調査によれば、トイレ内において女性の場合、「髪をとかす」、「化粧を直す」など、身づくろいの場としても活用されるケースが上位を占めている。こうしたデータからも女性にとって化粧室は単なる用たしの場だけでよいと言えるだろう。その為同社では便器を1つに減らして、パウダールームを設置した。又、トイレ全体にはシステムトイレを導入。工事期間の短縮を図っている。
 同ビルはこれまで、エレベーター、受変電設備を平成2年などに、エントランス回りは平成6年にと、各所において順次リニューアルを実施して来ている。こうした結果、テナント側とのいい関係を保っていると言えるだろう。


丸ノ内地区5棟のビルを順次各所で改修
三菱地所 ビル業務部副長 熊谷武生氏
 当社では、昭和62年から、丸の内地区の管理、運営する25棟のビルに関して、600億円の費用をかけた、リニューアル推進計画を実施している最中です。特に、丸の内界隈のビルは、築20年を経過したビルが多く、ビルの経年化を防ぐ為、又テナントへのサービス向上の点から、リニューアルは不可欠な訳です。現在進行中なのは、新有楽町ビルなどのトイレ回りですが、他のビルでも、空調、エレベーターなど、順次改修が行われています。




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