不動産トピックス

【6/2号・今週の最終面特集】不動産ビジネス業務支援の舞台裏

2025.06.02 12:13

営業チャンスを逃がさないデジタル活用 名刺管理サービスに新オプション
渡した名刺のおよそ半数が有効に活用されていない実態も
 人材不足は不動産業界でも大きな課題となっている。限られた人員でパフォーマンスを最大化させるには、新しい技術の活用や効率的なノウハウの共有が欠かせない。特に営業などの分野は社員の能力によって差が生じやすい属人的な領域。その分野も新技術の活用で能力の平準化へと近づけることができる。

デジタル名刺メールを作成 相手に自動送付の新機能
 Sansan(東京都渋谷区)は、同社が提供する営業DXサービス「Sansan」において、新たなオプションサービスとして「デジタル名刺ソリューション」の提供を先月26日より開始した。「Sansan」は受け取った名刺の管理・活用を軸に市場を開拓してきたが、今回名刺交換のあり方を変える新たなソリューションの提供を通じて事業領域を拡大し、営業DXの進化を加速させる考えだ。
 業務の様々な場面でデジタル化が進んでいる一方で、ビジネスの出会いにおいて欠かせない名刺は依然として紙でのやり取りが主流である。しかし紙の名刺交換は、紛失や破棄によって渡した名刺が十分に活用されないといった課題がある。Sansanが今回発表した「デジタル名刺ソリューション」は、デジタルデータで作成された名刺を相手に確実に届ける新たなソリューション。受け取った紙の名刺の情報を営業DXサービス「Sansan」に登録するだけで、相手にデジタル名刺が自動送付される「デジタル名刺メール」と、紙もデジタル名刺も「Sansan」で作成・管理できる「デジタル名刺メーカー」を搭載している。これまでの業務フローを変えることなく、確実に相手の手元に名刺情報を残せる仕組みを構築することで、ビジネスにおける機会損失を防ぎ、出会いが成果につながる環境づくりをサポートする。
 「デジタル名刺ソリューション」開発の経緯について、Sansanの代表取締役社長CEO・CPOの寺田親弘氏は次のように述べる。
 「当社が実施した調査では、名刺を受け取る機会が特に多い商品・サービスの買い手(企業の購買・調達部など)の約6割が、受け取った名刺を『すぐに使える状態で管理できていない』と回答しており、渡した名刺の半数が活用されていない実態が判明しました。また、社外の連絡先をどのように探すかアンケート調査をしたところ、『メールボックス』と回答した人が約7割にものぼりました。一方で、名刺を渡す機会が多い営業担当者への調査では、日常的に名刺交換後のフォローメールを送る人は4人に1人にとどまり、相手の元には名刺がない・メールもないという状態が生まれていることが分かりました。名刺交換から一定期間が空いた後にビジネスに発展するケースもあることから、相手に自分の名刺情報や連絡先を記録してもらうことは機会損失を最小限にする上で非常に有効であると考えました」
 「デジタル名刺メール」は、受け取った紙の名刺を「Sansan」でスキャンするだけで相手にデジタル名刺を自動で送付する。名刺情報をデータ化した翌日には相手のメールアドレスにデジタル名刺を送信でき、寺田社長は「名刺情報のデジタル処理のスピード感が、当社ならではの技術によって翌日のメール自動送付を実現します」と自信をみせる。また、「デジタル名刺メーカー」は社員ごとに常に最新のデジタル名刺を作成・支給できる機能。自社の名刺デザインのテンプレートを「Sansan」に登録し、氏名や連絡先といった情報を入力するだけで名刺データが作成される。作成した名刺データはデジタル名刺として活用できるほか、印刷発注も可能となっている。
 「デジタル名刺メール」は紙の名刺と同様の情報が掲載されており、メールマガジンのように情報量が多すぎることもなく、受信者側の負担は少ない。Sansanの執行役員でSansan事業部の小川泰正部長は「当社ユーザーではない企業に対しても『デジタル名刺メール』を送ることが可能で、当社の技術の一端に触れていただければ」と述べている。

加盟店オーナーが登壇 フランチャイズ成功の秘訣を紹介
 ハウスドゥグループの不動産会社、ハウスドゥ住宅販売(東京都千代田区)は先月15日、不動産会社向けのセミナーを大阪市内で開催。セミナーの模様はオンラインでも配信が行われた。
 セミナーは2部構成となっており、第1部ではAnd Doホールディングス代表取締役社長の冨永正英氏が「売却依頼急増中!『売り』を制す元付獲得セミナー」と題して講演を行った。「ハウスドゥ」は不動産売買仲介専門のフランチャイズで、全国に700店舗以上を展開。年間仲介実績は全国で合計3万件弱にのぼる。セミナーでは冨永氏が多くの成功事例を生み出しているフランチャイズの仕組みとブランド力を活用することで、集客力を高め、信頼を獲得するノウハウを解説した。
 第2部では加盟店オーナーによる対談企画として、むすび不動産(大阪府岸和田市)の松井雄亮社長とNeo不動産販売(大阪府枚方市)の吉村雄介社長が登壇した。むすび不動産は、2024年7月に「ハウスドゥ 岸和田春木駅前」をオープン。一括査定で売却依頼を増やし、昨年8月から今年3月までの8カ月間の累計粗利1・7億円を達成している。また、Neo不動産販売は2020年1月に「ハウスドゥ 京阪くずは」をオープン。チラシを活用した積極的な広報活動で売却依頼を増やし、2024年の年間専属媒介件数は248件にのぼったという。ハウスドゥグループでは加盟店オーナーが登壇し成功事例をプレゼンする情報共有の場を定期的に設けており、不動産ビジネスの成功ノウハウを知るチャンスといえる。


データ連携で建物のGHG排出量削減に貢献
 新日本空調(東京都中央区)とSustech(東京都港区)は、本年1月に締結した司法業務提携契約に基づく取り組みの一環として、Sustechが開発・運営する脱炭素化支援プラットフォーム「CARBONIX」を、新日本空調が開発・提供する建物・設備のエネルギー消費量把握・分析ツール「EQデータグラス」とデータ連携させ、両社が目指すカーボンニュートラル社会の実現に向けた協業を開始した。
 Sustechは、テクノロジーを活用して企業や社会が効率的にGX(グリーントランスフォーメーション)に取り組める仕組みを開発しており、インパクトのあるグリーンビジネスの実現を目指している。今回の取り組みでは「CARBONIX」と「EQデータグラス」をデータ連携させることにより、商業施設や公共施設、工場や設備まで、あらゆる建物の所有者にGHG排出量の効率的な可視化と建物・設備の最適制御や運用見直しを支援することで、GHG排出量の削減に貢献する。




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