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竹中工務店 大手ゼネコンリニューアルへの取組み リノベーションセンターを設置

1996.10.01 16:22

建物ストック8500件データベース化 改修工事は全体受注量の約20%に
 大手建設会社では、スクラップアンドビルドから、建物へのアフターケアと方向を転換しつつある。中でも竹中工務店では、改修事業に対し、積極的な展開を図る為に、専門部署を設置した。同社の取り組みを紹介する。
 竹中工務店では、従来から保全部を設置し、既存建物ストックの維持・管理を主眼においてきたが、85年に改修事業部門としてリノベーションセンターを設立した。そして今年4月にはさらに組織を改革し、リノベーションセンターをグレードアップさせた。背景には、戦後高度経済成長時に建設したビルがリニューアル期にあたる事。また、ビルオーナー自身バブル崩壊後、スクラップアンドビルドの考え方から建物のアフターケアへの関心が高まった事なども理由の一つ。今後同社ででは、改修事業に積極展開を図る。
 現在、リノベーションセンターは、東京本店と大阪本店にあり、既存建物のデータの構築と、建物診断をしている。他支店は技術部が兼務している。
 東京本店リノベーションセンターでは、東京から新潟まで、既存建物ストック約8500件の建物履歴をデータベースとして管理している。建物履歴には、設計・施工・設備・メンテナンスなどのデータが蓄積されている。
 東京本店のリノベーションセンターの下部組織としては、東京地区のリノベーションセンターがある。本店リノベーションセンターではビルオーナーに対し改修の診断とリニューアル計画を提案。工期打合せ等をした後に、実際の施工を担当するのは地区のリノベーションセンターが当る。
 同社の営業用ツールは、主にパンフレットだが、その内容は初心者向けから技術者向けまで揃えており、営業先によって使い分け、様々なアプローチで提案している。
 同社では従来、既存建物ストックのリニューアル等改修工事に関して、原則として当時の営業担当者、設計施工担当者、工事所長が継続して営業的活動を行ってきた。しかし、その担当者によって営業展開も様々で、頻繁に接触しているケースもあれば、縁遠くなるケースもあった。
 今後は、全顧客に対し、耐震診断を含め、建物全体をサポートし、アプローチを強化していく構えだ。また現在、インターネット上に同社紹介の、ホームページを載せているが、将来的にはリニューアルに関する情報等もネット上に流すなど、マルチメディアを活用した営業展開も検討している。
 同社の改修工事による受注量は、88年には全受注量の10%であったが、建設業界にバブル崩壊による影響が現れた91~92年には20%を占めた。
 今期には、東京に於いて25%、全支店平均20%と増加しているが、「今後数年は横バイ」(東京リノベーションセンター所長 玉木稔氏)と予想している。




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