週刊ビル経営・今週の注目記事

毎週月曜日更新

清水建設 大手ゼネコンリニューアルへの取組み ビルライフケア推進室で積極化

1996.11.01 11:38

ビルを総合管理する部門設置 情報共有化で組織的営業を図る
 清水建設(東京都港区)では、昨年10月より、本社建築本部内に、リニューアルを対象とした、ビルライフケア推進室を、東京支店にビルライフケアセンターを設立した。今後、北海道・東北・横浜・四国・九州支店にビルライフケアセンターを順次設立する予定。
 同社では、ビルライフケア推進室の発足以前から、建物リニューアルをビルオーナーに提案してきた。しかし、今後は従来よりも更に組織力を高め、既存建物のストック対応を強化する。またビルの引き渡しからを事業領域として捕らえる方針。
 本社のビルライフケア推進室は、10名から成り、リニューアル関連の全体的な組織管理や営業手段、情報体系等の中核的な役割を果たしている。リニューアル最大市場の東京エリアを担当する東京支店ビルライフケアセンターの主な組織編成は、同部の前身となった保全部と、ビルマネジメント部であり、それぞれに30名ずつ配置されている。
 ビルマネジメント部は、総合管理会社的存在。同社が施工したビルに、常駐者を委託派遣、東京を中心に約200社を管理している。また、建物の維持管理・メンテナンスという視点から、同部がビルの巡回をしている。これにより、同社は、設計、建築、維持、メンテナンスと、ユーザーニーズに応える体制を整えた。
 また、港区大門に「ビル総合管理センター」を設立。現在約20社をコンピューターで遠隔管理している。この方法によって、管理する各ビルの電力消費状況等が把握、分析でき、ビルオーナーへの省エネ対策などのコンサルティングが可能となった。さらに、昭和20年からの既築建物データベースをバージョンアップし、建物履歴を整備した。
 オーナーに対する営業ツールとしては、補修、改修の必要年数を記した「長期保全計画書システム」を今年7月より実施。新築引き渡しの段階からビルライフケアを考慮してオーナーに計画書を渡し、具体的に提案する。「築後数年経っているビルオーナーから、自発的に、長期保全計画書の作成依頼がある」(ビルライフケアセンター川村泰夫所長)ほどそのニーズは高い。
 従来、ビルリニューアルは施工した当時の現場監督が担当していた。しか、データベースの構築で情報を共有化することによって、組織としての提案営業が容易となった。
 現在、総売り上げの約20%がリニューアル事業によって占められているが、今年度にはその10%アップが目標。「達成できる見込み」とビルライフケア推進室中村英一主査。




週刊不動産経営編集部  YouTube