不動産トピックス

クローズアップ 断熱特集

2007.07.16 16:57

 ヒートアイランド現象や温室効果により、気温の上昇が続いている。中には所有ビルのコンクリートが昼夜の温度差に耐えかねてヒビが入ってしまったというオーナーもいるのではなかろうか。今回は、省エネだけではなく、ビルの耐久性を高める手段としても活用できる断熱工法を見ていこう。

浅間軽石 堆積した火山灰を再利用して環境に配慮 1000度の熱で発泡するシラスバルーン使用
 浅間軽石(東京都豊島区)が施工する「エコバリア」は、宮崎から鹿児島にかけて広がるシラス台地に堆積した火山灰を使用した、エコに配慮した断熱塗料である。
 ここに体積する火山灰の70%がガラス質であり、これに1000度以上の熱をかけると発泡して、球状に近い形態になる。この発泡状態になった火山灰は「シラスバルーン」と呼ばれる。
 「もともと、現地ではシラスが活用されていませんでした。灰の台地ですので、農耕地にもなりませんので、シラスを使用することで環境にも貢献します」(竹重氏)
 セメントと違い、地中から掘り出すのではなく、堆積した土台全てがシラスであるため、素材の調達は容易である。シラスバルーンは空気を内包するため、軽量で防音効果があり、火山灰のため熱にも強い。
 また、やわらかく加工しやすいという特性も持っている。内包する空気を利用して、近年では紙粘土などにも用いられているほどの柔軟性を保持している。
 エコバリアは、下地、シーラー、断熱2回、トップコートの順で施工。無機質のためアレルギーにも影響がないという。天然素材のため完全な球体ではないが、その分単価を抑えることができるというメリットがある.
 色は白が基本色である。施工後反射して白っぽく見えることもあるため、色を選ぶ際には良く確認したほうが良い。

デコス 新聞紙が原料のセルロースファイバーを吹きつけ 木質系繊維で人体にも安全健康に配慮した内断熱工法
 デコス(東京都中央区)が開発、販売する「デコスドライ工法」は、新聞紙を原料とする「セルロースファイバー」という木質系繊維を断熱材として吹き付ける内断熱の工法である。
 セルロースファイバーの特長としては、F☆☆☆☆以上の安全性が認められており、難燃3級であるため防燃性も高い。
 また、吸放湿性の効果でカビや菌の発生を防ぎ、結果的に建物の寿命を延ばすという。また、吸音材としての性能も期待でき、騒音や日常生活の音を防ぐためにも効果を発揮する。施工例では、マンションの上階に引っ越してきた若者の騒音を防ぐために、下階の天井に施工した例がある。施主からは騒音が和らいだという反応が返ってきたとのことだ。
 「デコスドライ工法は内側の壁面に木の枠を作り、そこにシートを張ってファイバー材を吹き込んでいく手法を取っています。ウレタン素材などはコンセントや筋交い部などに、きちんと断熱材を入れていこうとすると手間がかかるのですが、この手法ならば吹き込んでいくためにまんべんなく補填することができます」(断熱事業部東京営業所所長藤田隆太氏)
 セルロースファイバーの特長である吸放湿性によって、湿度の調整が可能なため、北国のRC造では、温度差による結露を防ぐために「ふところ」と呼ばれる屋根裏部分に吹き込んでいくといった手法を取ることもあるという。材料工事費込みで1㎡5500円。

クラカタ商事 粒子のそろったセラミックビーズ使用 紫外線を90%カット内外塗装で施工可能
 クラカタ商事(東京都大田区)が施工している「ガイナ」は、セラミックビーズを使用した断熱塗料である。
 ガイナの開発にあたっては、塗料会社と業務提携をし、施工の範囲は幅広く屋根、外壁、屋上の塗装や、工場にあるパイプの断熱なども受注している。
 ガイナの特長の1つは、塗料の中に含まれるセラミックビーズの大きさがそろっていることである。セラミックビーズは2種類のものを使用。小さい粒子が上に持ち上がり、下部で大きな粒子が隙間を埋める。
 「セラミックビーズの大きさをそろえるのは大変でした。他にもビーズを使う工法がありますが、ガイナのように粒子がそろっていなければ紫外線がもれてしまうので、断熱効果が損なわれてしまうのです」(業務販売部課長和田勉氏)
 また、もう1つの特長はセラミックビーズをアクリルでコーティングしてあること。乾くと表面に持ち上がってくるため、効率よく紫外線をカットすることができる。
 ガイナは、基本は外断熱だが内側にも施工可能とのこと。セラミックビーズ自体が白い素材で、着色が難しいため、基本的には塗料自体の色も淡いものになるというが、全52色を用意している。
 材料工事費込みで1㎡当たり白色では5万円。着色塗料でプラス2500円となる。

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