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BankART1929 既存物件活用のクリエーター拠点がオープン

2012.06.04 11:26

 横浜市で5月18日、期間限定のクリエーターの活動拠点「ハンマーヘッドスタジオ『新・港区』」がオープンした。
 今回のスタジオ開設は、平成20年に開催された国際的なアートイベント「横浜トリエンナーレ」の会場として建設された「新港ピア(新港ふ頭展示施設)」の活用を目的に横浜市文化観光局が企画したもので、建築家やデザイナー、アーティストなどにアトリエや工房として賃貸する。期間は平成26年に予定されている第5回横浜トリエンナーレの開催までの約2年間となっており、審査を通った約50組の入居が決定している。
 倉庫のような外観の新港ピアは延床面積約4400㎡で、今回の賃料は月額1100円~1200円/㎡ほど。広大な屋内には「建物」と呼べるようなブースが立ち並んでいるが、これは昨年新港ピアを会場に行われたアートイベント「新・港村」で使用されていたブースや展示品がそのまま活用されているため。同イベントのテーマが「街」だったこともり、展示品として設置された「建物」の間を縫って進む感覚は、屋内とはいえ路地を歩く楽しさに通じるものがある。期間限定ということもあっていずれも簡便な造りだが、それがかえってシンプルかつプリミティブな雰囲気を与えることにつながっているようだ。低廉な賃料とあいまって、何かを生み、創り出すための空間として得がたい建物となっている。
 建物が立地する新港埠頭は明治から大正にかけて整備された横浜港初の近代的な埠頭で、そばには大正3年に設置された「ハンマーヘッドクレーン」が屹立する。同スタジオの名称は、電動クレーンとしては東洋最古といわれるこの大型クレーンからとられたものだ。
 同スタジオは横浜市を中心に活動する有識者からなる協議会とNPO法人BankART1929が共同で運営する。

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