不動産トピックス

【今週号の最終面特集】BMFM注目 施設管理向けのサービス

2023.06.26 10:22

BEMSデータの抜き出しに活用 セキュリティ確保の遠隔制御ソリューション
会社オリジナルの地図作成可能 作業員・事務員の業務効率化成功
 ビル管理・施設管理業務を効率化することで、サービスの質強化や営業力強化に繋がることがある。例えば、建物や設備の遠隔監視。現場に駆けつけなくても遠隔で状況を確認できれば、対処はしやすい。昨今はエネルギーのマネジメント業務にも活用できる。他社との差別化にも期待される。

トラブル発生時にネット介さず状況把握
 エム・クレスト(東京都千代田区)は、遠隔制御ソリューション「KUROKO Connect(以下、クロココネクト)」を提供している。昨今ではビル・エネルギー管理システム(BEMS)のデータ抜き出しに活用されている。
 システム保守やメンテナンス企業向けに開発されたクロココネクト。独自の接続方法とモバイル閉域網を組み合わせたことで、高いセキュリティレベルを実現したリモート接続サービス。機器、閉域網回線、独自ソフトウェアを1つにパッケージングし、安全・迅速・安価を可能とした。クロココネクトは建物内外の監視カメラや各種センサー、サーバ、空調、通信機器や制御機器などと接続している、ハブやルーター等に機器を取り付けるだけ。トラブル発生時や遠隔でのメンテナンス時に、企業側が管理画面から接続を要求。その都度、接続用の入口をランダムで作成。同入口を使用すれば、インターネットを介さずに設備や管理システムの状況をチェックできる。
 ビル管理会社やファシリティマネジメント(FM)会社で導入が進んだ背景には、セキュリティを重要視しているため。トラブル発生時に外部からインターネットを介して状況把握を行うことは、情報漏洩の視点から危険。個人情報を取り扱う企業や部署、官公庁の案件では前述の対応はできない。その様な場合、現場に駆けつけることなく遠隔操作で改善できるのが同サービスの強み。全国どこでも、複数現場のビル設備を安全・安心にリモートで一括管理できる。インターネット接続とは別の独自の接続方法だからこそ、ネットトラブルの影響もない。

現地までいかなくても使用状況が把握可能
 昨今同社では、クロココネクトがBEMSデータの抜き出しに活用できると考えている。BEMSは、室内環境とエネルギー性能の最適化を図るためのITによるビル管理システム。大型ビルだけでなく現在は中小ビルでも普及が進み、照明や空調などの制御は当たり前になりつつある。しかし、制御には当然データが必要。これまで管理会社や電力会社では月数回、現場までデータの抜き出しに足を運んでいた場合もあった。クロココネクトを採用すれば現地まで抜き出しに行かなくても済み、毎日使用状況の把握ができる。
 代表取締役の森島寛氏は「データの抜き出し回数が少ないと、その分制御にも影響が出てきます。ですが複数棟のビルを管理する管理会社やFM会社ですと、昨今は現場に人を派遣することが難しく状況もあるようです。もっと頻繁に使用状況を把握したくても、できないケースが増えていると思います。また前述のように、セキュリティの観点からネットと接続できない施設や建物に最適と思われます。VPN(Virtual Private Network)装置を採用している建物もあるようですが万全ではなく、情報漏えいのリスクがあります。セキュリティ性を確保しながら、質の高いエネルギーマネジメントにクロココネクトが活用できます」と、業界の課題も踏まえて語った。
 導入検討の企業からは、「BEMSの管理ソフト上でページが見ることできる」や「大型ビルでの専用回線よりも安価である」と好評だ。専用回線は高額なことから、リモート管理を諦めていた企業も多い。FM業務での効率化や職場改善に最適と思われる。BEMSが普及した今、次はデータ抜き出しに活用される遠隔制御ソリューションに注目が集まるだろう。

営業活動管理アプリ 不動産事業社に普及
 レッドフォックス(東京都中央区)は、スマートフォンやタブレット端末で簡単に使用できる営業活動管理アプリケーション「cyzen(以下、サイゼン)」を提供している。昨今は不動産事業社やビル管理、設備管理会社にも普及している。
 サイゼンは多彩な機能を強みとした、営業組織向けの管理アプリケーション。GPS機能による営業現場の見える化、手軽にできる報告書作成、地図上での顧客情報の把握など、営業活動を組織・個人双方の視点からサポートする。様々な業種・業態に対応でき、かつ同機能のアプリケーションの中でも割安が特長。不動産事業社では、地図上から物件情報の全てを閲覧できること、また情報の一元化にも応えてきた。
 サイゼンは3つの特長を持つ。1つ目はGPSによる見える化。2つ目は報告書作成。双方の機能で、より効果的・効果的な営業と状況把握に繋がる。不動産仲介業・売買業を行う企業に加えて、ここ数年はビル管理会社や設備管理会社からも評価されている。それが3つ目の強みである、会社オリジナルの地図を作成できること。顧客情報や商談履歴、過去の報告書から必要なデータをアプリの地図上に落とし込む。会社独自のニーズに応えた地図を作成でき、外出先でも簡単に情報を閲覧できる。

物件の状況把握に 時間の削減に貢献
 導入した設備メンテナンス会社では従前、物件特有の情報把握や問題共有、スケジュール確認などに問題を抱えていた。例えば、物件特有の情報が外出先から分からず、事務員に電話で確認していたこと。また現場で見つかった問題など、情報を共有する手段がバラバラであった。スケジュール確認、次の現場へのルート検索など、現場単位で非効率も発生していた。サイゼンでは「スポット機能」により、物件情報や顧客特有の注意事項がスマホから閲覧可能となった。外出先からでも状況把握ができ、「報告書機能」等で現場のリアルタイムな情報を共有。更に一日のスケジュールや移動ルートをスマホから簡単に確認できるようになった。
 代表取締役社長の横溝竜太郎氏は「導入企業の成果としては、現場から注意事項を確認する時間を削減できたこと。作業員・事務員の業務を効率化できたことが挙げられます。情報共有の一元化で更新スピードもアップし、事務員の経理業務の助けにもなりました。現場社員の非効率を改善し、管理者側もスケジュール管理の効率化に繋がっています」と語った。

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