不動産トピックス

ホテル運営会社次の一手を探る

2022.08.15 11:09

アパホテル 新中期経営計画達成へ出店加速 広島では30階建て施設の用地確保し4年後開業
 アパホテル(東京都港区)では現在、2010年4月にスタートした「SUMMIT 5(頂上戦略)」を継承し、2022年4月より新たな5カ年計画「AIM5 ~APA Innovative Movement」を始動。アフターコロナにおけるニーズの変化やDX化の波を捉えながら、国内で圧倒的なナンバーワンホテルチェーンとなるべく、2027年3月末までにアパホテルネットワークとして15万室展開を目指していく計画だ。

客室数600室規模 市内1400室超に
 同社はこの程、相次いでホテル用地を取得、新規出店を進めていく。
 広島駅前にタワーホテル開発用地を取得した。取得会社はアパホーム。案件地は、JR山陽本線、山陽新幹線「広島」駅南口より徒歩1分の駅前物件。広島東洋カープ本拠地となる「MAZDA Zoom-Zoomスタジアム広島」や、中国四国地区最大の歓楽街「流川」へも徒歩圏内であり、ビジネスや観光・レジャー、ショッピングなど幅広い需要を取り込んでいく。
 現在、広島駅周辺および市内では「広島駅南口再整備計画」や、「HIROSHIMA スタジアムパーク PROJECT」など数多くの再開発が進行しており、同プロジェクトの推進が更なる経済効果をもたらすことを期待する。
   同案件地の開発計画は、客室数600室規模の超高層30階建タワーホテルとして計画。ホテル名は「(仮称)アパホテル&リゾート〈広島駅前タワー〉」とし、2026年12月の開業を目指す。 
   同ホテルはスイートルーム・デラックスツインルーム・バリアフリールーム等、バリエーション豊かな客室タイプを設けると共に、隣り合うシングルルーム同士を必要に応じ、繋げて利用できるS-Sコネクトツインルーム(シングル-シングルコネクトツインルーム)を標準として配置。平日のビジネス需要、週末の観光需要、この先のインバウンド需要にも対応していく。また共用部には展望プール・大浴場等の施設や大型レストランも完備し、宿泊者だけでなく日帰り等の日常利用にも対応するホテルを計画していく。
 広島市内では現在、「アパホテル〈広島駅前大橋〉」(全727室・2016年10月6日)、「アパホテル〈広島駅前〉」(全91室・2008年12月19日)、同計画を含めると計3棟・1418室となる。  
 同社では、今後も地方中核都市については、駅前開発用地の取得を中心にアパホテルネットワークの拡充を強化していくという。

千代田区14棟目2024年4月に始動
 一方、東京・千代田区で14棟目となる開発用地は、JR総武線「水道橋」駅より徒歩1分、JR総武線「飯田橋」駅より徒歩9分と複数路線・複数駅が利用できる場所に位置する。ビジネスでの利用に加え、「東京ドーム」まで徒歩圏内である為、観光・レジャー利用にも適した立地となる。この案件は「アパホテル〈水道橋駅前〉」(全167室)として、2024年4月の開業を目指す。
 現在千代田区内では、13棟・2391室のホテルが運営中であり、同案件も含めて全14棟・2558室を展開する事となる。今後も東京23区では、駅前開発用地の取得を中心にアパホテルネットワークの拡充を強化していく方針だ。

「京急EXイン」改装 台東区内で14棟目
 同社はまた、東京都台東区にある「京急EXイン浅草橋駅前」を取得し、台東区内14棟目となる全180室の「アパホテル〈浅草橋駅前〉」として開業させた。
 同ホテルは、JR総武線、都営地下鉄浅草線「浅草橋」駅徒歩2分に位置。両国国技館や東京ドームへ乗り換えなしでアクセス可能であり、ビジネスだけではなく、国内レジャー、インバウンドなど幅広い宿泊需要を取り込んでいく。 
 開業にあたり、新たにツインルームを1室増室。全客室に50型の大型液晶テレビ、事務所並みの明るさにこだわったシーリングライトを設置したほか、ヘッドボードにコンセントを増設するなどアパホテル仕様の客室へとリニューアルを行った。また、テレビ画面上に館内案内をデジタル表示した「アパデジタルインフォメーション」、通信速度とセキュリティの面で優れたWi-Fi無料接続、BBCワールドニュース無料放映を導入した。
 最先端のIT開発として、1秒チェックイン機(アプリチェックイン専用機)を導入。アプリチェックインを行うことで、当日のチェックイン手続きを大幅に簡素化することができる。
 台東区では、上野・浅草エリアを中心にドミナント戦略を図っており、現在14棟3320室が運営中となる。今後さらに上野エリアで1棟、浅草エリアで2棟の開業を控えている。
 「当社は浅草・上野エリアを中心にドミナント展開しており、当ホテルは台東区14棟目のアパホテルとして開業を迎える。浅草エリアは特に力を入れているエリアでもあり、『浅草』を冠するアパホテルは開業予定を含めると10棟に及ぶ。浅草橋は歴史ある問屋街としてビジネス需要はもちろん、都営浅草線から成田空港、羽田空港へ乗り換えなしでアクセスできることから訪日外国人の利用も期待している。空港や観光地など交通アクセス至便な拠点駅としての特性を生かし、訪日外国人、観光客、ビジネスマンなど多くの人が集い、地域の人からも愛されるホテルを目指していきたい」(元谷一志社長)という。
 同社は現在、アパホテルネットワークとして、海外、FC、アパ直参画ホテルを含む全国最大級の698ホテル10万6273室を展開している。

金乃竹 デイユース体験を提供
 神奈川県・箱根で旅館4店舗・飲食店2店舗を展開する金乃竹(神奈川県箱根町)は、マイクロツーリズム需要の高まりで拡がりつつある「デイユース」市場へ向け、旅館デイユース体験を提供する「箱根 金乃竹 茶寮」を8月4日にオープンさせた。
 2022年6月16日に実施した「日帰り旅行」と「デイユース」に関するアンケート調査では、新型コロナウイルスの行動制限の緩和前と比べ、36・8%が日帰り旅行への意欲が増したと回答があった。また、「旅館のデイユースを利用したことがある」、「検討したい」は68%を超える結果となり、デイユース利用時に最も期待する内容は「料理」、次いで「露天風呂付き客室」となった。
 さらに「日帰り旅行で旅行支援施策を積極的に活用する」と回答した人が、65%を超えることなどから今後のデイユース市場の発展に期待を持てる結果となった。
 同社は1947年創業。前身の「富士荘」はいわゆる「昔ながらの古い民宿」で、客室は8部屋、玄関のスリッパはトイレで使用されている様なビニールスリッパで、部屋の稼働率は日々23%ほどしかなく、年間わずか2500万円ほどの売上規模だった。その後、竹取物語のコンセプトを具現化した貸切露天風呂を2つ、客室に露天風呂を新設した。以降、貸切露天風呂と料理の評判から「昔ながらの古い民宿」は日々満室になる人気旅館となった。コロナ禍含むこの5年間では+18%の成長を遂げている。 金乃竹グループは、気軽に日帰りで日常を離れて旅館体験を楽しんでもらえるサービスの定着へ挑戦していくと同時に、デイユースサービスが新たな顧客層に支持され箱根への入込数の増加へ繋がる一助を担い、地域創生に貢献していきたいという。

小田急リゾーツ 「はつはな」リニューアル
 小田急リゾーツ(神奈川県小田原市)では、箱根湯本のホテル「はつはな」をリニューアルオープンさせる。
 同施設の温泉は、アルカリ性単純温泉の自家源泉。温度が高く湯量も豊富で、全客室の露天風呂、4つの貸切風呂、また大浴場で、湯めぐりが楽しめるのが特徴。
 貸切風呂は、それぞれ趣が異なる貸切風呂は浴槽とパウダースペースや寛ぎスペースを備えた造りで、家族一緒に温泉を楽しむことができる。中でも別棟施設の「川音(かわと)の湯」は唯一露天の貸切風呂。寝湯と深湯があるインフィニティスタイルの浴槽に浸かり、須雲川の川音を聞きながら、自然の風を感じて、贅沢な湯あみが楽しめる。
 その他、格子状に組まれた高い天井の梁が美しい八角形の浴槽がある「静寂(しじま)の湯」。窓の外に浴槽からつながっているような設えの水盤が特徴的な「水面(みなも)の湯」。光ファイバーの輝きが幻想的な石盤の庭に癒される「明灯(あかり)の湯」。温泉棟2階の大浴場「山の端(は)」と1階の「竹の葉」は男女入れ替え制となっている。

栃木グランドホテルが老人ホーム
 栃木グランドホテル(栃木県栃木市)は、住宅型有料老人ホーム「グランドまりそう」を2023年1月のオープンを目指す。
 これまで同ホテルは、和室・洋室の客室に加え無料駐車場や大会議室、宴会場、直営レストラン、地産地消居酒屋を保有し、地域住民や地域経済に貢献してきた。地域住民のライフイベントを届けてきた同ホテルは、会社と会社、個人と個人をつなぐコミュニティ機能の活性をさらに図ってゆくべく、住宅型有料老人ホームを建設することとなったもの。
 「グランドまりそう」は栃木市の中心街に位置し、栃木市役所、地域唯一のデパートである東武百貨店が隣接している。こうした地元地域の日常に密着する商店街に「住宅型有料老人ホーム」を展開する。
   同社の老人ホームでは、ホテル館内で使ってもらうチケットに交換、そのチケットをホテル館内での飲食に活用できるような仕組みを作っていく。
 同社はこれまで宿泊施設に加え、宴会場、直営レストラン、地産地消居酒屋を有し、夏季には屋上ビアガーデン、屋上グランピングなど地域住民が楽しめる場所作りに取り組んできた。「グランドまりそう」はこの繋がりを最大限に活かし、地元地域を支え活性化していきたいという。 

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