不動産トピックス

今週の一冊

2021.06.21 11:39

相続税登記の義務化を前に

図解ポケット 不動産登記手続きがよくわかる本
著者:岡住 貞宏
発行日:2021年2月1日
発行所:秀和システム
価格:1000円(税別)

 不動産登記は司法書士任せという方は多いだろう。本書は「自分で登記申請してみたい」という方向けに書かれた一冊。
 近年深刻な課題となっている所有者不明土地問題。先頃、ようやく極細の道筋がついたようだ。2024年をめどに、相続登記が義務化されるという。遅きに失した感もあるが、大きな一歩だ。相続登記では戦前の戸主制度の名残を見ることもある。被相続人である不動産所有者の出生当時の原戸籍まで遡り調査することがあるが、戦前生まれの所有者であれば当時の戸主と一族が記載されており、なかには戸主の隠居した親の出生年として江戸時代の年号も見られる。登記は歴史だ。
 さて、登記の解説本は多いが、司法書士受験参考書以外の目的で、「自分でできるように」という視点の指南本は珍しい。まずは第一章「不動産登記のキホン」は、「不動産登記って何?」から自己で登記申請するメリット・デメリットなどを解説
 「登記簿」は紙の時代の呼称で今は「登記記録」細かい説明が有難い。コラムでは日本の縦割り行政の弊害にも言及。登記記録は法務省、価格分野では固定資産税は市区町村、相続税は国税庁、地価公示は国土交通省とか。果てしなく話題は広がるもの。一読をお勧めする。

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